従え！ ページ20
河村さんとおでこがぶつかった。
きっとめちゃくちゃ痛かったんだろうなぁ、先輩。
だって赤くなってるし。
相当痛かったんだろうなぁ。
会議が終わった後、河村さんに話しかける。
もう赤みは引いたみたい。
「河村さん、おでこホントに大丈夫ですか？」
「あ、ああ。大丈夫。大丈夫だって」
河村さんの目線がキョロキョロしていて定まらない。
大丈夫じゃないんだろうなぁ。
「腫れてはないですか？救急箱とかありましたっけ、ここのオフィス」
「ダァァァーッ！近づくなっ、腫れてないから！」
「先輩、大変！また赤くなってます！やっぱり手当てを…」
「お前が近づいてくるからだろうが！どこも痛くないから安心してくれ！僕に構わなくて良いから！」
「いやいや、ぶつかったのは私のせいですし。なんですか、そのツン。黙って構われなさいよ、先輩」
「僕の言うことに従え！何もしなくて良いから！」
「どっかの皇帝みたいな言い方はやめなさいよ、先輩」
「先輩に構わなくて良いから。頼むからこれ以上ドキドキさせないでくれっ…！」
ドキドキ…？
河村さん、ドキドキしてるんですか？
私に…？
河村さんはそのまま執務室に戻っていった。
こうちゃんさんが私の肩をポンと叩いて話しかけてくれる。
「河村さん、素直じゃないよなぁ。Aもあんまり河村さんを困らせるなよ。お前から今度一緒にお出掛けしませんかって誘ってみ？」
「何でですか、こうちゃんさん」
「Aも気になってるくせに」
河村さんと何処に行けと言うんだ。
草津温泉でも行けと言うのか、こうちゃんさん。
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作者名：*ゆ う* | 作者ホームページ：
作成日時：2021年3月22日 20時
