赤い橋の伝説。 ページ27
登りきって橋を二人で歩く。
思ったより大きいんだな。
海も見えるし、風が気持ちいい。
自慢のヘアスタイルも崩れるくらい。
橋の真ん中まで来るとAちゃんが歩みを止める。
「伊沢さん、赤い橋の伝説って知ってますか？」
「えっ、分からないや」
「ドラマ内での話なんですけど、赤い橋の上で恋人たちがおんぶをすると結ばれるんですって。それがやりたくて」
「何その都市伝説。好きだけどね」
可愛い一面もあるんだな。
ドラマに影響されちゃって。
恋人なんだからもう結ばれてるじゃん。
「……おんぶ、してくれますか？」
「２回目だよ？Aちゃんをおんぶするのは」
「あれは記憶にございませんので」
「何その政治家みたいな言い方」
しゃがんでAちゃんをおんぶする。
胸があたってることは内緒にしておこう。
「今日はこの間より軽いね」
「この日の為に食事制限してきましたから」
「ちょっくらこのまま歩くか」
「無理しないでくださいね、若くないんですから」
「何の為に筋トレしてると思ってるの？」
Aちゃんを背中に感じながらゆっくり歩く。
初めて出会った時の事を思い出す。
初めて出勤した日、嘘をついてメッセージを送ったり。
河村さんに先を越されて悔しんだり。
意外と酒癖が悪いことを知ったり。
それでもAちゃんから想いを告げてくれて恋人同士になって。
自然に好きとか言ったりして。
逢えなくても側に君を感じて。
俺は世界で一番幸せなオトコだなって感じるんだ。
だから渡す場所はAちゃんが憧れている場所で良い。
ここじゃなきゃ、ダメだと思う。
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作者名：*ゆ う* | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月8日 20時
