川の字になって。 ページ9
夕飯を食べて俺が片付ける。
Aさんは先に拓実に離乳食を食べさせてたから今食べてる。
ホントは俺がしなきゃいけないのに任せっきりになってしまってる。
申し訳ない。
「Aさん、朝は俺が食べさせるからね。ホントありがとう」
「好きでやってるので大丈夫ですよ。福良さんも後片付けしてもらってありがとうございます」
二人して感謝の言葉を交わしてカップル通り越して夫婦じゃないか。
だいぶ噛み締めていた。
想像もしてなかったんだよ、こんなに嬉しいってことに。
Aさんは自分の作った料理を頬張って、たまに拓実の様子を伺って。
ますます可愛いなって思って、俺もしかしてAさんのこと好きかもって。
「福良さん！大河ドラマ観ますか？ちょうど今夜私の好きな武将が出る回なのでテレビ占拠しても良いですか？」
「どうぞどうぞ。てか俳優さんじゃなくて武将目当てなの？(笑)」
「彼の生き方めちゃくちゃ好きなので」
そういえば歴史好きだったよな。こうちゃんと対等に話せるもんね。
俺もそこそこ出来るから話してくれても良いんだけどなぁ。
やる事もやって落ち着いた。
拓実をそろそろ寝かせようかという話になり三人で暗い寝室に行く。
怖がらないように常夜灯をつけておく。
「お布団用意してくれてたんですね。福良さんも別にベッド使ってくれて良いのに」
「俺もちゃんとお世話したいからさ」
俺と拓実とAさんと三人並んで布団に入る。
拓実はAさん側の布団に入ってるし、軽くAさんに包まれている。
俺って何も出来てないな。
拓実のほっぺを触る。
こっちを見て笑みを見せてくれる。
こんな俺でも少しは懐いてくれてるのかな。
「寝ようね、拓実」
「福良さん、お父さんみたい」
「それを言ったらAさんだってお母さんみたいだよ」
こうして三人の日曜の夜は過ぎていった。
まだ２週間あるこの生活、悪くはないんじゃないかな。
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作者名：*ゆ う* | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月1日 6時
