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Aのかかりつけの病院に着く。
オフィスから近いから河村と運転手として活躍してくれたであろう、こうちゃんがソファーに座っていた。


「河村!Aは!?」


「落ち着けって。スグに分娩室に入っていった。2時間くらい経ったけどまだ産まれてない」


「Aは大丈夫かな…河村、こうちゃんありがとう」


「オフィスでAさんがお腹を抑えて苦しみだした時はどうなるか焦りましたけどねぇ」


「とりあえずAさんのかかりつけの病院に連絡して指示を貰ってココに来たってとこかな。Aさん、車の中で言ってたけど今朝からちょっと陣痛っぽいのあったみたいだぞ?」


A、そんなこと一言も言ってなかった。
気づいてやれなくて。
旦那なのに。
それなのに俺はオフィスに連れ出したりしたのか。


「まぁ、自分を責めるなよ福良。そろそろ産まれるんだし笑ってようぜ?」


「そうですよ!パパがそんな顔してたら赤ちゃん出てこないですよ!?」


こうちゃんがいつものような動きをして元気づけようとしてくれているのが分かる。
河村も優しい顔をしてくれている。


「…そうだな。パパが辛気臭い顔してちゃダメだよな!」


「QuizKnockのプロデューサーがパパになんのか…何か動画撮りたくなってきたな」


「河村さん!俺、カメラ持ってきてるんで撮りますか?」


「こうちゃん、すっかりYouTuberだなぁ」


「はい、福良さん!録画開始!何か一言どうぞ!」


カメラを向けられていつも撮影なんて慣れているはずなのに緊張しちゃって。
一言って急に言われても出てこないよ。
俺はいつも日記でしか記せないから。


「……俺とAの赤ちゃん、早くパパとママに顔を見せてください」



分娩室の方から赤ちゃんの鳴き声が響いてきた。
俺の願い、聞いてくれたのかな?
賢いなぁ、俺たちの赤ちゃんは。





.

おめでとう、パパ。→←無理しちゃダメだよ。



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作者名:*ゆ う* | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年2月28日 12時

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