敵わないな。 ページ25
夜になって父さんがいつもより早く帰宅。
残業をせず寄り道もせずに真っ直ぐ帰ってきたんだとか。
俺たちのことを心から喜んでくれて、娘がまた一人出来たみたいで嬉しいと言ってくれた。
兄さんの奥さんとAは性格が違いそうだからなとお酒を飲みながら笑っていた。
「拳も一杯飲むか？」
「俺はいいよ。まだ拓実をお風呂に入れてないし」
「拳さん、今日は私だけで入れますから構わずに飲んでください」
「ダメ。２人で協力する約束でしょ？」
「あら。いつも３人でお風呂に入ってるの？微笑ましいわねぇ」
「恥ずかしい……」
「恥ずかしがることなんてないよ。父さん、先に３人でお風呂入ってきて良いかな？それから一緒に飲もう」
「入ってきない。男２人で早く語りたいからな」
「ありがとう。A、準備してお風呂入ろう」
「はい、拳さん」
慣れたもんだ。もう３人でお風呂に入るのは。
でもこの夜が最後だ。
拓実は明日には兄さんが迎えにくる。
でも淋しくなんかないんだ。
これからもAが傍に居てくれるから。
誓い合ってるから。
「拳さん、拓実さんのシャンプー上手ですね」
「もう一人でも出来るよ。なんならAの髪の毛も洗ってあげようか？」
「実家で何しようとしてるんですか！そういうことは家に帰ったらしましょうね？」
「わかったよ。Aには敵わないな」
のぼせない内に上がって拓実をバスタオルで包んで俺だけリビングに向かう。
ちなみに下半身だけバスタオルを巻いてるし実家だからセーフね。
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作者名：*ゆ う* | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月28日 12時
