印象は良好。 ページ21
新幹線に乗り、Aさんと拓実は窓側の席へ。
ここに来てまでもAさんには拓実を面倒見てもらって助かっている。
もはや、ホントのお母さんって感じだ。
拓実は窓の外が気になるのか景色が変わっていく様子をジッと眺めていた。
Aさんに「拓実、重くない?」って聞くも「大丈夫」と微笑んで応えてくれた。
駅に着いて今度は俺が拓実を抱っこする。
拓実の必要な物はリュックに詰め込んできたから荷物は俺が背負い込む。
ひとつのキャリーケースに俺たちの荷物を入れている。
それをAさんが運ぶ。
少しでも楽させてあげたいから。
乗り換えをして実家の最寄りの駅まで向かう。
拓実は赤ちゃんが食べられるおせんべいを一枚頬張る。
電車の中で泣かなくて良かった、本当に。
その後はタクシーで実家まで行く。
Aさんは何だか緊張してるみたい。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。母さんにはAさんも来るって言ってあるから」
「だから緊張してるんじゃないですか…挨拶どうしたら好印象持たれるかとかインターネットで検索しましたもん…」
「そのワンピース着てるから印象は絶対良いでしょ」
「ワンピースだけ褒めてません?自分が選んだから」
「あはは。違うよ、Aさんが着てるから印象良いって言いたかったんだよ」
「まったく…最初からそう言ってください、福良さん」
唇を尖らせるもんだから、その唇に俺の唇を重ねる。
怒った?ごめんね?
「……タクシーの中でやめ、ましょ…」
「つい。可愛いなって」
もう少しで実家に着く。
帰ったらいっぱい君のことを話したいな。
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作者名:*ゆ う* | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月28日 12時