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生憎様だね。 ページ19

続々と出迎えてくれる同僚たち。
拓実は伊沢に連れ去られてその後を追うように山本とこうちゃんも執務室に向かう。


残った河村が俺たち2人を見て悪い笑顔を見せる。
何だよ、マタニティー雑誌まじまじと眺めてたのAさんに言うぞ?


呼び捨てにしたいけど中々上手くいかなくて、朝のアレ以来言えていない。
Aさんもいつまで経っても俺のことは苗字呼びだし。


正直そろそろ下の名前で呼んで欲しい…。
そんなわがままな気持ちが口から溢れ出してきそうなのを堰き止める。


Aさんが河村の笑みにハテナマークを付けながら伊沢たちの後を追っていく。
俺と河村だけが廊下にポツンと立っていた。


「……プレゼント作戦、上手くいったみたいだな福良」


「作戦って程じゃないけどね。あの後帰宅してから気持ち悪がられてないか心配だったけど、そうじゃなかったよ」


「Aさんはお前をそういう目で見ないさ。ずっとお前だけに熱い視線送ってたの、僕は知ってるからね」


「えっ。河村、Aさんの事そんなちゃんと見てたの?もしかして河村、お前…」


「誤解しないで欲しいけど、生憎僕は恋愛よりオタクをしてる方が向いてるからね。他所様の好きな人をどうかしようだなんて思った事ないよ」


そんな事を言って本心は違うんじゃないかって疑ってしまうけど、河村の言葉に何となく心がぽかぽかしながら2人で執務室へ入っていく。


Aさんを大事にするよ。
だから、お前はお前を大切にしろよ?








.

認めて欲しいから。→←俺もいつか。



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作者名:*ゆ う* | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年2月28日 12時

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