距離を感じるから。 ページ17
１０日目の火曜日の朝。
今日は久しぶりに３人でオフィスに行けると思うと心が躍る。
拓実の準備をしているとAさんが俺の鞄からはみ出ていた雑誌を見つける。
ヤバい、ちゃんと隠してたつもりなのに何で？
「福良さん……この雑誌は？」
「あ、いや、その…」
言い訳をしようも表紙には結婚情報雑誌のタイトルがでかでかと載っていて、仕舞いには妊婦さんの為の雑誌もこんにちはと挨拶をしていた。
「ふ、福良さん…もしかして、他に好きな人が…？」
「どうしたらそうなっちゃうの？俺が好きな人はずっとAさんだよ？この雑誌だって、深い理由があるわけじゃないけど気がついたら購入してたんだ…」
Aさんは雑誌を数ページ読んで俺に雑誌を渡してきた。
「私たちも良い年齢ですもんね。福良さんが無意識だったとしても、私とても嬉しいです」
「Aさん…」
拓実が居ようが構わない。
力強く抱き締める。
「福良さんっ、まだ朝です！」
「朝だけどくっついていたい。A、好きだよ。俺とずっと一緒に居てくれる？」
ずっとずっと、言いたかった。
さん付けだなんて恋人同士なのに距離を感じるから。
やっぱり名前で呼びたいんだ。
「福良さんが離れなきゃ、ずっと一緒ですよ」
「ありがと、A。２人で明日にでも休みを取って実家に行かない？早過ぎるかもしれないけど両親に紹介したいし」
「ふふ、早過ぎですよ福良さん」
今日は仕事を片付けて三人で実家に行こう。
お母さんたちも拓実に会いたいだろうし、俺の彼女も紹介したい。
車で行くのは疲れるから新幹線で行こうね。
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作者名：*ゆ う* | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月28日 12時
