白馬の王子様になれない。 ページ33
撮影が終わり少し仕事をして退勤時間に。
いつもなら時間になったら速攻で帰るんだがそういう気持ちになれなくて。
無意味にパソコン開いてYouTube見たりして時間を潰している。
「河村?もう就業時間だけど?」
「あー、はいはい。もうそんな時間か」
我ながらかなりの大根演技だな。
もうさすがにここにいる理由も思いつかないので渋々と帰り支度をする。
「じゃ、またいつの日か」
「明日来ないつもり!?」
手を軽く挙げて執務室を退出。
動画編集メンバー+Aさんはまだいる。
ちょっと乾近いんだけど。Aさんから離れなさい。
遠くから彼らに退勤することを告げる。
お疲れ様でしたと社会人特有の定型文。
玄関で靴を履くのに手間取っているとスマホが震えた。いつの間にかマナーモードになっていた。
[ AA:お疲れ様でした。私ももう少ししたら終わるので一緒に帰りませんか? ]
僕がもう玄関から出たと思って送ってきたんだな。
靴を脱いで元の場所に戻る。
乾たちは忘れ物ですか?なんて言ってる。
そうだよ、ひとつ忘れ物があるんだ。
Aさんの近くに行きマウスに乗ってる手に触れた。
「待てないから迎えにきた。帰るよ」
僕は白馬の王子様になんかなれやしないけど、君への気持ちは王子様と変わりないよ。
僕と一緒に行こうよ。
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作者名:*ゆ う* | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月3日 20時