よく分かる解説。 ページ4
伊沢が僕の前にやってきて持っていた紙袋からシュークリームが出てきた。
「はい、これ河村さんの」
「伊沢が僕に差し入れとは相当疲れてるな」
「何言っちゃってるの！社員の為にと思って美味しそうなシュークリーム買ってきてドッキリサプライズしてあげようっていう社長のこの気持ち分かってよ！」
「ありがたく頂くけどさ、河村俺がAに好意持ってるって思ってるの？」
「えっ、持ってるだろ。告白したんだろ」
「えっ」
また繰り返しになるこの雰囲気。
隣にいるCEOはシュークリームを頬張りながら何やら楽しそうだ。
「はいはい、二人とも落ち着いてね。クイズ王と呼ばれるこの俺が解説してあげるから」
どこからともなく取り出したプロテインを一口飲むと伊沢は得意の口調で語り出した。
「福良さんからパソコンの調子悪いからAさん呼んで見てもらうってのは聞いてた。実際それらしき人とすれ違ったしね！それで福良さんはいつも通りAさんにある返事を催促した」
「どうして伊沢がそれ知ってるんだよ」
「福良さんから相談受けてたしね、社長ですから。それで河村さんは福良さんがAさんに惚れてて尚且つ告白の返事を聞いてるように思った」
「えーーーッ！！！」
福良が笑いながら驚いていた。
社長の話は続く。
「河村さんは福良さんとAさんの関係が気になる。つまり…河村さんは福良さんとトライアングラーな関係になってしまったと思い込んでるんだｧｧｧ！！！」
「お前楽しんでるだろ」
「うん、めちゃくちゃ楽しい」
福良が慌てながら僕に近づいてくる。
「河村、勘違いしてる…Aに返事催促したのは告白したとかじゃないんだ。てか俺はAとは親友だし間違っても恋愛感情はない」
いや、それはそれで失礼だろと思ったがわけが分からなくなってきた。
じゃあ、福良は何を催促してたんだ。
「Aのスキルを活かす為にQuizKnockに入社して一緒に働こうって誘ってるんだ」
「まっ、そういうことですな河村さん。河村さん、めちゃくちゃ分かりやすい人でオモロ」
二個目のシュークリームを食べ始めた伊沢。
確かに辻褄は合う。
僕の勘違いってことだったのか。
福良が僕の肩を叩いて一言。
「河村ってAのことめちゃくちゃ好きなんだね」
ニヤリとして放った一言で僕の恋が始まった。
自覚してるけど、周囲に気持ちがバレる程好きになってるんだなって。
僕の好きな人の親友には敵わない。
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作者名：*ゆ う* | 作者ホームページ：
作成日時：2021年1月3日 20時
