おにぎり宮でアルバイトするお話【宮治】

第33話 ページ34

侑「いやぁな、サムのことカッコええとか思わへんの？」


顔が似ている自分も遠回しにかっこいいと自覚しているような発言は、

この人は本当に何が言いたいんだろう…と疑問に感じる。



「確かにかっこいいとは思いますけど…。」



私も治さんには聞こえないようにコソッと返す。



侑「せやんな？年上店主なんてカッコええよなぁ…？」



ニヤニヤと笑う宮侑、何を考えているんだろ。



侑「ほんで、そのカッコええと思うのは、何なん？好きなん？」


「……は？」



思わず間抜けな返事が出てしまった。


まさか、私が治さんのこと好きなわけがない。



「…憧れですよ？」




侑「ほーん…」



それでも笑う侑さんの意図は本当に分からない。
こんなこと聞いて何になるの。




治「2人で何コソコソ話とんねん。」



いつのまにかお客さんを見送った治さんが私たちの方へ振り返った。




侑「なんでもあらへんよ？
なぁ、Aちゃん。」



「何が言いたかったんですか。」



侑「なんでもないゆーとるやん？



あ、お客さーん、どれにします？
コレとコレおすすめですよー！！」



適当にはぐらかすと、侑さんはお客さんへ絡みに行った。

お客さんも「宮侑やん！隣ほんまに双子やん！似とる！」なんて盛り上がってたり。



これ、私いない方がいいんじゃないか。

双子の間にいるあのチンチクリンバイトなんやねんって思われないかな。



治「そんなことないで。Aちゃんは必要や。」



思わず治さんを見上げた。



治「顔に出とるで。笑いや、Aちゃん。」




なんで…。

私の思ってることがわかったんだろう
そんなに険しい顔したのかな…。


でも、治さんにそんな風に言ってもらえるのは嬉しい。

思わず口元が緩んで、治さん目掛けてにっこり笑ってみた。



治「そっちの方が可愛ええよ。」


そう言って笑い返してくれた治さん。

眩しいくらい素敵な笑顔。





ドキっと胸の奥が跳ねる音が聞こえた気がした。







・






・






侑「残り4つやなー。」


治「せやなぁ。」





閉店予定時間まではもう少しあるけど、もう4つなんてすぐに売れ切れちゃうんじゃないかと思うペース。

たまたま店内には今お客さんはいない。



そこへ、ガラッとお店なドアが開く音がした。


たぶん今日の最後のお客さん。




治「いらっしゃいま…、って、およ！！」



？「来ちゃった。」

？「まだ残っとる？」

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