倫太郎お姉さん【角名倫太郎】

第24話 ページ26

角名「終わった？」


「まだ。」


角名「終わったよね？」


「終わってへん。」



うそ、ほんまは終わっとる。

あれからお互い黙々と課題を移す作業をしてたら案外すぐ終わってしもた。


でもこれ終わったら倫太郎の家にこれ以上お邪魔する理由なくなってまうから終わらせたくない。

課題自体は終わらせたいけど！



角名「さっきから最後の一問、すごいゆっくりうつしてない？」


「て、手が動かへんの…」


角名「ずっと文字書いてて疲れちゃったの？

じゃあ俺が代わりに…」


「嫌や！」



角名「はぁ、さっきからどうしたの？

終わったらちょっと行きたいとこあったんだけど。」



「…え？」



行きたいところ？
　
倫太郎がその言葉を言い終えるあたりで、私も最後の課題を写し終える手が止まった。


角名「俺さ、部活三昧だったから、夏休みに夏らしいこと何もしてないんだよね。

だからちょっと電車乗って海見に行きたいなって思ってたんだけど…」


「う、み…？」


角名「そ。今日天気良いし、今から行ったら夕焼け見れるんじゃないかなって思って。」


え、倫太郎と海？

何やそれ。夕焼けに照らされた海をバックに輝く倫太郎を見れると？

なんやそれ。最高やないか。
あわよくばその瞬間を写真に収めて毎日見てやるわ。




「行く、行こや、海！！」


角名「良かった。それじゃ行こっか。」



倫太郎は机に広がった課題を綺麗にまとめると、財布と携帯をポケットに入れて立ち上がった。


倫太郎の匂いが充満したこの天国のような倫太郎の家にもうちょっといたかったな…なんて少し思ったけど、
まだ倫太郎といれるのは嬉しかった。

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