おにぎり宮でアルバイトするお話2【宮治】

第56話 ページ10

時計を見るともう私が出勤すべき時間になっていた。


なんだか、入りにくい。





私お邪魔虫みたいじゃんか。





治「あれ、Aちゃん来とるやん！そんなとこでなにしてん。
こっちおいでやー。」


裏のカウンター入り口のところでおずおずとしていると、それに気付いた治さんに招かれた。



その声に実さんも振り返る。


治さんも実さんもなんだか、上機嫌に見える。






そんな私の不安も束の間、





実「はーい、若いピチピチ大学生バイトちゃんはこれ被ってやーー！」




実さんにおにぎり宮のキャップをとられたかと思ったら、次にボブっと何かを頭に乗せられた。





「えっ！」





手で触って確認すると、サンタの帽子だった。




治「クリスマスなんやし、お店にもサンタいた方がええやろ〜？トナカイのカチューシャもあんで。」





なにそれ。




「私ばっかりこんなの被って恥ずかしいじゃないですか！！
どっちかって言ったら治さんがサンタみたいです！」


そう言って、私は自分の頭の上に乗っていたサンタの帽子を治さんの頭に乗せた。




うん。治さん。背が高い！





なんだかそんな身長差にキュンとした。





治「なんやそれ、俺がサンタみたいなおじさんいうんか！まだ23やぞ！」




客男「え、店長さんイケメンな上に若っ！」

客女「抱いてー。」

客男「おまっ、目の前で浮気しようとすな！！」

　
カウンターに座っていたカップルも絡みに来た。




実「似合っとりますよ〜」



治「俺がサンタやったら、Aちゃんトナカイやで！」



そう言った治さんは棚に置いてあったトナカイのカチューシャを私の頭につけた。



治「うん、Aちゃん似合っとるわ！！」








なにそれ。






楽しいじゃんか。






クリスマスのバイト、最高。






治さんと実さんの関係について一瞬悩んだことなんて、忘れ去るくらい今日のバイトは楽しかった。






・






・






治「今日は客入ったなー！」


実「テイクアウトも含めていつもの2倍は売れてますね！」



締め作業をする治さんの隣でお金を数える実さん。





そんな並ぶ2人をみてふと思い出してしまった。



閉店後、デートするんだったこの人たち。





私こんな呑気に賄い食べてる場合じゃなくない？

今日の賄いいつもより少ないし、やっぱ早く帰れってことかな。



「それじゃ私帰りますね…おつかれさ…」



治「Aちゃんこの後空いてへん？」









「へ？」

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