おにぎり宮でアルバイトするお話2【宮治】

第55話 ページ9

大学も冬休みに入り、迎えたクリスマス。



正確に言えばクリスマスイブ。





冬休みや入ってからは、夜は友達と電話したりテレビを見たりと夜更かしをし、

次の日は昼頃に起きる、そんな生活をしていた。



クリスマスイブだと言うのに、私も目を覚ましたらお昼を過ぎていて、

今日も寝過ぎたなぁなんて伸びをしながら、今日の予定は…と考える。





「バイト3時からじゃ…」


寝過ぎた。時間ギリギリだ。




まさか、こんな時間からのバイトに時間ギリギリになるなんて思わなかったから、目覚ましなんてかけなかった。



今日くらい、いつもよりちょびっと、ちゃんとメイクしたかったのに。



パッと着替え、パッとメイクし、パッと髪を結ぶ。






「よし！」



鏡の前で自分を確認したら玄関を飛び出した。









・








そろりと裏からお店に入ると、店番をしているのは治さんと社員の実さんの2人だった。

なんだか実さん、いつもより可愛い気がする。




急ぎすぎたのか少しだけ早く着いた。

制服に着替えてキャップを被っても、もう少し時間があったので、そっとお店の様子を覗いてみた。



やっぱカップルが食べにきてる。





今日はそういう日か、なんていやでも伝わってくる。




今は丁度、注文も入っていないのか、

治さんと実さんが2人で談笑していた。




なんだかいつもより、実さんの笑い声が耳についた。





治「そんで、今日の閉店後…」


実「……それ、いいですね！楽しみになってきた！」






…閉店後？

楽しみ？





仕事中だからそんな大きな声で話しててるわけではない2人の声。

他のお客さんの声も混じって、はっきりとは聞き取れないが、

今確かに閉店後って言った。
それに楽しみとも言った。





あれ、私の想像のしすぎじゃないといいんだけど、




もしかして今日の閉店後、2人デートしたりするの？





閉店後の楽しみってそれしかなくない？







侑さんは、治さんに彼女いないって言ってたから、いないんだと思ってた。


それ聞いたのいつだっけ。




夏休み前だ。そんなのずっと前に感じる。




そもそも治さんが、彼女の存在を侑さんに内緒にしてるかもしれないじゃないか。




ていうか、実さんがバイトじゃなくて社員なのってなんで…？


社員の募集なんてあった？


オープン前には私は採用されたはず。
それじゃ、いつから働いているの？




考えたことなかった。





実さんって何者？

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