第82話 ページ39
「すごいここの料理ほんとに美味しい…！」
治「ほんまにな！このソースとか何入れてるんやろな〜！」
運ばれてくる料理を次々にペロリと平らげてしまう。
大好きな人と一緒に美味しいご飯を食べるのはとても幸せだ。
幸せで、
楽しい時間のはずなのに、
明日からまた始まる就活のことが頭の片隅から離れなかった。
今くらい忘れたい。
せっかく、お互い休みが被って、初めてするデートなのに。
フォークを握る手の力が無意識に強まった。
こんなに美味しいのに、
治さんが目の前にいるのに、
あんなに、2年以上も恋い焦がれた治さんがいるのに。
治「Aちゃん…。」
そんな私の様子に気付いたのか、治さんが私の名前を呼んだ。
治「実は、今日気分転換しに行こって言うたのは、一つ、Aちゃんに話したいことがあったからなんや。」
お互い食べる手が止まった。
治さんは真っ直ぐ私を見つめている。
治「Aちゃん、今自分の将来のことで不安やんな。
俺は面接とかインターンとかはせんかったけど、資金集めやったり、お店借りるために頭下げまくったりだとかしとったんよ。
将来が不確定なのって怖いよな。
昔は先生や親に作ってもらってた道を、
今は自分で作らなあかんねんから。」
治さんはそうぽつりぽつりと話し出していく。
「私、今、どこの選考受けても、すぐ落とされて、
最終面接まで行ったと思ってもまた落とされて、
私、社会に必要ないのかなって、自分の価値わかんなくなっちゃってるんです…。」
治さんにこんな弱音を吐きたくなかった。
治「俺やったらAちゃん落としたりせえへんのやけどなぁ。
一緒に働いとったら分かる、こんなええ子不採用にするなんて、会社見る目なさすぎちゃう？」
それは治さんなりの励ましなのだろうか。
だったらなんだ私こんなに失敗ばっかなのよ。
「でも、私、全然決まんないし、明日のインターンだってもう行きたくない。
自分が将来何したいかも分かんなくなっちゃって…。」
治「なら就活やめえや。」
一言、治さんが発した言葉。
冷たく、今の私の全てを否定する言葉。
でも治さんのその目は暖かい。
「やめたら、私、将来なんもできなくなっちゃう…。」
治「俺ならAちゃん落とさへん言うたやん。
なぁ、Aちゃん。
ウチで正式に働かへん？」
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ちかな(プロフ) - とても良かったです…素晴らしいお話でした！！！よろしければ番外編も見たいのでパスワード教えていただいてもいいでしょうか？あの続きを読みたいです！！ (6月6日 11時) (
レス) id: 94bbb03075 (このIDを非表示/違反報告)
ごま吉(プロフ) - 凄く面白いです！ですが68話のところ名前が(がないせいで変換されてないのが気になりました……！) (2021年11月10日 11時) (レス) @page25 id: 162c50cd7b (このIDを非表示/違反報告)
ayee(プロフ) - 番外編めちゃくちゃ見たいです！ パスワード教えてください。お願いします！ (2021年9月4日 9時) (レス) id: 3db7910b34 (このIDを非表示/違反報告)
えるる(プロフ) - 治ぅ…幸せになってよかったです！素敵でした！番外編私も見たいのでパスワード知りたいです。。ご検討お願いします (2021年8月28日 2時) (レス) id: dae120511d (このIDを非表示/違反報告)
もちーず - あの、番外編短編集のパスワードを教えて欲しいです。身勝手な願いですが、お願いします！ (2021年8月8日 20時) (レス) id: abd0311f3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たたねんこ | 作成日時：2020年5月1日 12時
