【原神】神の目を失っただけのはずだった

修理不可能 ページ15

「これはちょっと修理できなさそう。さすがに損傷が激しすぎるし、部品も結構なくなってる。

　それに、Aの風の翼はそこそこ前のものだから取り替えられる部品も無いんだよね」

　残念ながら修理は出来ないとのこと。確かにこの風の翼、結構昔から使ってたな。

「A先生、どうしたら風の翼がこんな形に…?」

　エウルアが心配そうな顔をして私を見る。アンバーも頷きながら私を見た。

「セレスティアに行ったら着いた途端に暴風で落とされちゃった。その暴風で壊れちゃったみたい。

　あと、ついでに神の目も無くなっちゃった。今日になれば帰ってくるって思ってたんだけどね」

　すると二人は驚きの表情を浮かべていた。驚きすぎて声も出ないみたいだ。

「A、セレスティアに行ったの?言ってくれればお見送りとかお別れ会とかしたのに!勝手にいなくならないでよ!」

　やっと声が出るようになったのかアンバーが喋り出したが、私は怒られてしまった。前もこんなことがあったような。

「A先生、またセレスティアへ向かうんですか?」

　エウルアは心配そうにそう聞いてきた。確かに私がいなくなったら彼女の一族を診ることはもう出来なくなる。

　セレスティアへ行く前の自分はなんてバカなんだろう。弟子に道具と本だけ渡してそれで満足していた。セレスティアから落ちて本当に良かった。

「いや、もう行くつもりはないよ。だってテイワットにはやり残したことがいっぱい有るからね。これからもよろしく」

　するとアンバーは私に飛び付いてきて、エウルアは側で嬉しそうに微笑んでいた。

　その後は夕方までアンバーの部屋に居座って世間話をしたり、ウサギ伯爵の新しいデザインを考えたりと楽しい時間を過ごした。

　風の翼は購入したばかりだというものをアンバーから貰った。騎士団に保管している予備用なのだそうだ。

　私がそんなものを貰ってしまってもいいものかと思ったが、騎士団の宿舎に泊まっているから仲間だとアンバーに押し付けられた。

　私は二人に別れを告げてエンジェルスシェアへ向かった。今日こそはいると良いけど。

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