塔の上の囚人 ページ18
相手はただの囚人だぞ……。
刑務作業中に問題を起こした囚人を問答無用で懲罰房にぶち込んできたジャンクは、自分の行動に説明をつけることができなかった。
目の前には、ラムザの上着に包まれながら、壁を背もたれにして気持ちよさそうに寝ているAがいる。おそらくラムザが寝ているAを気にかけて自らの上着を被せたのだ、と聡明なジャンクは理解していた。
しかし身体は、心が理性を持って動いていればいるほど、感情的に動いてしまう。
どうしちまったんだ、俺は……。
ジャンクが、アムムの質問に何も言わずに考え事をしていることに気になってしょうがなくなったあるにあは、
「……看守？」
と、今度はジャンクの肩を叩く。
「……いや、すまない。なんでもない」
自分の感情に完全に蓋をして、”看守長”に戻ったジャンクは、あるにあとアムムと寝ているAを見て、指示を出した。
「……とりあえず、おんぶするか。危なくないように、アムムとあるにあは支えててくれ」
ジャンクはそう言うと、寝ているAを軽々とおんぶした。
「……俺らいる？」
ジャンクがAをおぶって颯爽と歩いていくのを見て、アムムは呟くが、ジャンクの耳には届いていない。
なんでまた、あんな顔してたんだろ看守。
いつ見ても貫禄がある背中を見ながら、あるにあは先ほどのジャンクの表情に違和感を感じていた。
良くも悪くも決して感情的になる人ではない。負の感情なら尚のこと。自分の気持ちより、刑務所の利益を優先する、言わば看守の鏡だ。
だったら、何故。
あるにあの考えはこれ以上先に進むことはできなかった。
「ほら、早くついてこい」
ジャンクの催促で、あるにあは考えることをやめた。考えても意味がないと判断したからだ。
ふと、地面を見るとジャンクがAをおぶったことによって、落ちてしまったラムザの上着が落ちていた。
相変わらず変なところが抜けてる看守だな、とわざと落とされたものとは知らないあるにあは、上着を拾い、未だに隣で呆然としているアムムに向かって、
「……脱獄のために何か有益な情報があるかもしれないから、慎重についていこう」
と、囁くと、ジャンクの後ろについて歩いた。
「そういえばAさんの房、どこになったんですか？」
話題をできるだけ脱獄に関することにしたいあるにあは、今思いついたような言い方でジャンクに聞く。
「あそこだ」
ジャンクが指差した方角は、あるにあも良く知る看守塔の一番上だった。
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N(プロフ) - わーーー！！更新ありがとうございます！！セクハラ仕掛けようとするジャンクさんにキュンときました…！ (2019年1月9日 2時) (
レス) id: 9739c37198 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - Nさん» Nさんはジャンクさん推しなのですね……！ もっとジャンクさんと絡ませていきますね！ (2018年12月28日 22時) (レス) id: 51084a1629 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - りえるさん» りえるさんありがとうございます……！ その言葉で更新再開しようと思えました！ 頑張ります！ (2018年12月28日 22時) (レス) id: 51084a1629 (このIDを非表示/違反報告)
N - 初めまして！ジャンクさん推しなのでとっても最高なお話です！！続きが読めますように…！ (2018年12月14日 2時) (レス) id: 9739c37198 (このIDを非表示/違反報告)
りえる - めちゃくちゃ面白いです！一気に読みきってしまいました！続き楽しみにしています！ (2018年8月16日 21時) (レス) id: abbad6b46b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つかさ | 作成日時：2018年5月27日 21時
