【WT】不器用な青年とピアノを弾く青年の話【br】 (ページ28)

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15話ページ28

下級生や先生に見守られて、無事卒業式は終わりを迎えた

ある者は第二ボタンの取り合い、ある者は友人と涙を流して再会を誓い、ある者は笑顔で写真を撮っていた

俺はそのどれにも混ざらず、人がごった返す中庭でふと校舎を見上げた

『(…今日でお別れか)』

長かったようで短かった高校生活。とある友人達のおかげで人並みの青春も経験して、無事進学も決まっていた

ここで学んだことを活かして未来へ繋げていこう。希望に満ち溢れた明日を夢見て、視線を下ろすと

『…！』

人混みの中一際目立つ高身長、見慣れないスーツ姿のそいつと目が合う。見えづらいが近くには青春を共にした友人達もいた

『………』

そいつはまたいつものように笑いながら

「こっちだよ」と口を動かして、手招きをした

またあの輪に混ざれたら、きっと楽しい日々が俺を待っているのだろう。だとしても

どちらにせよ、後戻りは出来ないんだ

それに、あの時から決めていた

踏み出した足に、迷いはないから

『…ありがとう、元気でな』

この言葉はきっと届くことはないから。出来る限り口を大きく動かして、その動きで伝えようと思った

そしてその招かれた手に、俺は

手を振って応えた

もう後ろは振り返らない、涙も流さない

完成された『ワイテルズ』が、俺にしてくれたのと同じように

たくさんの人達を笑顔にして、元気づけてくれることを心から祈った

さようなら、青春の日々

ありがとう、ワイテルズ

そしてbroooock、どうか願わくば

いつまでも笑顔でいてほしい

End…？