【WT】不器用な青年とピアノを弾く青年の話【br】 (ページ22)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:18,518 hit

. ページ22

しばらく本を読んでいると、broooockとシャークんときりやんは海から上がってビーチバレーのような遊びをしていた。Nakamuときんときは相変わらず海に潜ったり遠くまで泳いだりして遊んでいる様子が視界に入る

ふと、スマイルの視線がこちらに向いていることに気付く。興味ありげに先日買った参考書の表紙をじっと眺めているようだ

「…珍しいな。前までそんなの読んでたか？」

『え、あぁいや。苦手分野の克服みたいなもんだよ。進路の選択肢にもなるかもしれないし』

「ふーん」

「おーい、そこの2人ー」

シャークんがこちらに走ってくる。その後ろからはbroooockときりやんがボールを持って歩いてきている

「2対2でビーチバレーしようぜってなってんだけど、どっちか参加してどっちか審判してくれねぇ？」

「俺は審判じゃないと無理。A頼んだ」

『はぁ！？俺、球技というか運動からっきしだぞ』

「じゃあどっちがやったって一緒だ」

「スマイルの運動神経はわかってるからAに参加してもらう方がまだマシのような気がする」

『マジかよ…』

「じゃあ2人チームに分かれて…」

「あれ、ビーチバレーやんの！？俺らもやるー！」

海から上がってきたNakamuときんときが加わる。これで3対3になるのだろうか

「じゃあこれで全員だね〜！」

broooockの言葉に俺以外が頷く。その『全員』の中に自分がいることが、何だか信じられなくて

「おっしチーム分けな」

違和感を感じているのは俺だけなのだろうか。だとしたら余計な気遣いなんだろう

「グッとっパーで…」

それでも、ただ『慣れない』という言葉だけでは片付けられない。心のモヤが確かにそこにはある

「…A？」

『……あ？』

「ほら、ボーッとしてないでチーム分けするよ！」

『あ、あぁ』

初めて6人と遊んだ次の日と同じ感覚を、心のどこかに抱えたまま

日焼けした肌が高校生活最後の青春を、嫌という程感じさせるのだった

→