【WT】不器用な青年とピアノを弾く青年の話【br】 (ページ20)

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『もう一種のストリートライブみたいになってたな』

「いや〜びっくりだね」

何故か店主さんもギャラリーの中にいて、いくつかのリクエストに応えていたらすっかり時間が過ぎていた。まぁ目的はこれだったのだから全く構わないのだが

『…あ、時間大丈夫なら本屋寄ってもいいか？』

「全然いいよ、てか僕も見たい本あるわ」

そのまま俺達の足は本屋へと向かう。高校3年生が本屋に寄る目的なんて割と限られている

示し合わせた訳でもないのに、2人揃って参考書のコーナーに入る。色々見て悩んでいるbroooockを横目に、俺は迷わず1冊の本を手に取った

「あれ、A文系じゃなかったっけ？」

『だからこそだよ。苦手意識はあったけど、興味はあるんだ』

経理についての参考書。この手のものは覚えておいて損はないし、事務作業をやるなら尚更だ

「あ、全く話変わるんだけどさ」

『ん？』

「みんなで海行こうって話出てるんだけど」

『海…』

「わ、酷い顔してる」

『本当に失礼だな』

そりゃあいい顔はしない。泳ぎもそこまで得意じゃないし、外で動くのはそんなに好きじゃない。圧倒的インドア派の人間が喜んで海に行くだろうか

「高校最後の夏だよ！？青春だよ、アオハルだよ！？みんなで思い出作りしたくな〜い？」

『わかった、わかったから…』

流石に店の中なので声は控えめだが、そのデカい図体で詰め寄られると普通に暑苦しい。それから逃れるには承諾する他ないのだ

「決まり〜！じゃ、また日付決まったら連絡するわ」

『はぁ…』

出来れば俺の事なんか忘れてくれないだろうか。そんな淡い期待を抱きながら夏休みを過ごしていると

無慈悲にも、俺のスマホにはbroooockからメッセージが届いたのだった

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