星朧 (ページ9)

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浅縹ページ9

入会届を書いて私は天文サークルに入ることになった。
来月の13日に観測会をやるらしいのでそちらにも早速参加することにした。

「わからないことがあったら何でも聞いて。一応僕の連絡先教えても良い？」

「あ、はい」

彼と連絡先を交換した後、部屋を後にした。

午後の講義も終わり、そのまま図書館へ向かった。
またふわっと懐かしい香りがする。いつものようにあの本の方へ向かう。ページを開き、メッセージを取り出す。もうこれが私の習慣の一つになってしまっている気がするが、悪い気はしない。この本棚は図書館の後ろの方にあるから人気も少ないし、落ち着いていられる。

今日はどんな事が書いてあるかな。ワクワクしながら紙を開く。

バレましたか。スパイダーマン好きです。
アメイジング・スパイダーマンの方なんですけど、あそこでピーターとMJが星を眺めるシーンが凄く好きで憧れちゃいますよね・・・

「かわいい」

”憧れちゃう”という言葉愛らしくて思わずそう呟いた。

わかります。
蜘蛛の糸の上というのもロマンチックですよね。私天文サークルに入ることにしたんですけど、もしかしたらそんな素敵なことが起こるかも笑

冗談半分で書いたがなんだか恥ずかしくて消しゴムで消した。

星見るの楽しめたら良いなと思います。

と続きに綴り、本に挟んでその場を去る。最近は本を借りるためと言うよりもこのメッセージのためだけに来てるななんて考えながら図書館から出ようとすると、ふと天文コーナーが目に入った。
今日聞いたドヨンさんの話が蘇ってきて読んでみようかなと言う気持ちになる。
普段図鑑とか読むタイプじゃないから何を読めば良いのか迷う。

「うーん」

「何探してるの？」

横から誰かの声が聞こえ横を見るとドヨンさんがいた。私の顔を覗き込むような体制で目が合ってしまい思わずドキッとしたがそれがバレないように平然を装って話す。

「星についての図鑑みたいなのを借りようと思ったですけど・・・もしかしてサークルの部屋にあったりしますか？」

「まぁ。あるけど、難しいかも」

彼は本棚の方へ手を伸ばし「これだ」といって一冊取り出した。

「これ！」

彼が手にしていたのは子供用の図鑑。少し驚くが何も知らない私には丁度いいのかもしれないと思って納得する。

「ありがとうございます」

そう言って彼から手渡された本を手にする。

「あはは、なんか子供みたい」

そう笑う彼に少し胸がときめいたのは秘密の話。