星朧 (ページ8)

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空色ページ8

楽しそうに去っていく背中をぼんやりと見つめる。

「サークル、天文サークル」

さっき聞いた言葉を繰り返してみる。
天文って何するのかな。星を見るんだろうけど楽しいかな。

「天文サークル入ろうとしてるの？」

いつの間にか隣にドヨンさんが座っていた。

「いや、まだ決めてないんですけど、勧誘されて・・・」

「そうなんだ・・・実はさ僕も天文サークルなんだ」

「そうなんですか！」

「うん」

勧誘されてなんてちょっと失礼なこと言っちゃったかな。

「あの、どんな事するんですか？」

「うーん」と彼は考えるような仕草をしてから言った。

「観測会とか、あとプラネタリウム見たり、時々合宿とかもやったりする。結構楽しいよ」

「そこで星を見るんですね。楽しそう」

楽しいよ、と言いながら笑う彼は本当に楽しそうだった。

「入ってみようかな」

小さく呟いてみると、

「良いじゃん。」

そう言って彼は私をサークルの部屋に案内してくれた。

「ここだよ」

彼が開いた扉の先には新鮮な光景が広がっていた。
たくさんの望遠鏡が並んでいて、他にも見たことないものがたくさんあった。

「すごい」

思わず漏らした感嘆の意に彼は「ありがとう」と照れくさそうに笑った。

「これは望遠鏡ね。望遠鏡にも種類があって、屈折式と反射式。そこからさらにケプラー式とかガリレオ式とかにも分かれてくるんだ」

「この望遠鏡はガリレオ式。対物レンズに凸レンズを使って、接眼レンズに凹レンズを使ってて、色のにじみがないから見やすいの。でね、こっちがケプラー式とニュートン式。ケプラーは屈折式でニュートンは反射式。屈折式はほとんどケプラー式で星を見るのには＿＿＿

ドヨンさんがどんどんと話を進めてくが知識ゼロの私には到底理解できないものだった。でも、話している彼はとても楽しそうで本当に好きなんだなと思った。

「あ、ごめん。話しすぎた・・・わかんなかったよね・・・」

「いえ、少し難しかったけど面白かったです。」

そう言うと彼は安心したように笑った。

「お好きなんですね、天文学」

「あぁ、うん、そうだね」

「どのへんが好きなんですか？」

「うーん・・・全部好きだけど、なんか遠くを見てるって感じが好き。僕達が見てる星の姿は何年も前の姿なんだよ。面白いでしょ」

「そうなんですか！知らなかった」

そこも好きかな。そういう彼はなんだかとても幸せそうでこっちまで嬉しくなった。