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『なんで君が行くんだ。そこに行くのは僕のはずだったのに！』
『酷すぎる、君は酷い奴だ…………！』
『A！』
＊＊＊
はっと夜中に目を覚ました。
時計を見ると午前二時を回ったところで、外から聞こえる虫の声が微かに耳に届いた。まだ暑い季節じゃないのに、寝汗で体がびっしょり濡れている。
またあの男の子が夢に出てきた。でも今度は、記憶の中から訴えかけてくる、生きていた頃に見たあの子だ。
『酷すぎる』。
あの子はそう言っていた。
私は何か酷いことをしただろうか。
私｢…ううん。私は正しいことをしたよ。｣
口に出して、しっかりしろ！と自分の肩を抱きしめた。私は間違ってない。そのはずだから。
タ｢Aちゃん、大丈夫かい？｣
襖の向こうで、タガタさんの声がした。
私は慌てて返事を返す。
私｢大丈夫です、すみません、起こしちゃいましたよね？｣
タ｢平気だよ。眠らなくてももともと僕らは体調が悪くなったりしないからね。＿＿＿＿開けていいかい？少しお喋りでもしよう。｣
いいですよ、と言うと、そっと襖が開いた。タガタさんは寝巻きに浴衣を着ていて、大人の人だった。
タガタさんは私の布団の傍にきちんと正座して、お邪魔します、と微笑んだ。
タ｢たまに夜うなされているようだけど、怖い夢でも見ているのかい？｣
私｢いいえ、昔の夢ですよ。｣
タ｢生きていた頃の？｣
私｢はい。いい思い出ではないんです。｣
夢の中の、あの男の子を、私は知っている。
タ｢Aちゃんには、片割れがいたよね？｣
私｢はい、いました。｣
タ｢確か、体の弱かった子だね。…お兄さんかな？｣
私は頷いた。あの男の子を、確かに、知っている。たった一人の私の兄だから。
私｢兄は私より長生きしました。それで良かったはずなのに、辛そうな兄が夢に出てきて…なんでなんでしょうね。｣
私は夢で彼に『酷すぎる』と非難されたことを、タガタさんに言ってみた。言ったところで解決しないのは分かっているのに。
あまりにまるで兄のような雰囲気だから、思わずなんでも話したくなってしまう。
タガタさんは、少し考え込んでいた。
そうしてそのうち、ふっと微笑んで私に聞いた。
タ｢どうして相手の気持ちを決めつけるんだい｣
私｢え？｣
タ｢君は優しい子だから、きっとお兄さんの気持ちを心のどこかで分かっているんだろう？｣
私は目をぱちくりさせる。タガタさんはいたずらっぽい笑みを浮かべ、「イミゴの受け売りだよ。」とウインクした。
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kalisu - めっっっっちゃ面白いです！！！ (5月20日 22時) (
レス) @page17 id: 350d3d48ac (このIDを非表示/違反報告)
そぞろ(プロフ) - 神影さん» 全然そんなことないですよ！四ツ目神たくさん楽しみましょうね！ (2019年1月13日 12時) (レス) id: cd9a550aa8 (このIDを非表示/違反報告)
神影(プロフ) - そぞろさん» すみません、気を遣わせてしまい…もし、読めたら報告します！ (2019年1月13日 12時) (レス) id: 98976194be (このIDを非表示/違反報告)
そぞろ(プロフ) - 神影さん» そうなんですね。神影さんのいつかの楽しみのためにショートストーリーのネタバレは極力しないよう気をつけて書かせていただきますね.*･ﾟ (2019年1月13日 12時) (レス) id: cd9a550aa8 (このIDを非表示/違反報告)
神影(プロフ) - そぞろさん» ショートストーリー読みたいんですが、親にお金を払ってもらっているので交渉が難しいです(汗)でも、いつかきっと読みたいと思います！ (2019年1月13日 12時) (レス) id: 98976194be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そぞろ | 作成日時：2018年11月21日 16時
