15＊彼岸花�� ページ16
〜イミゴside・続�◆�
歩杜里｢Aは、僕に成り代わって自分から殺されたんだよ。｣
ゆらゆら、歩杜里のまわりに墨を垂らしたように黒いものがまとわりつく。池の水がとたんにそれを押し流して、散り散りになってそれは消えた。
歩杜里｢………憎しみとか、悲しみとか、辛さとか。この池はそういう感情を許してくれなくて、こうしてすぐに流されるんだ。僕がここにいる限り暴走するようなこともないし、安心して欲しい｣
イ｢…Aが、おまえが悲しんでる夢を繰り返し見ると言ってたぞ？｣
歩杜里｢それはここと同じ水脈からとれた井戸水を飲んでるからだと思うな。押し流された僕の感情が、夢に紛れ込むのかもね｣
歩杜里は穢れることのない池の中で、何年も四ツ目神にとりこまれたAを見守っていた。ずっと、ずっと一人きりで、"いらない子"の亡骸が眠るこの場所を、美しく保ちながら。
イ｢それで…………俺に頼みってなんだよ。Aを連れてくればいいのか？｣
話が逸れたことに気づいて、俺はそう尋ねた。歩杜里ははっとしたように目を瞬かせる。
歩杜里｢そうだったね。Aのことを君に任せたいと思って、そういう頼みをしようとしてたんだよ。｣
イ｢そういう頼み？｣
歩杜里｢うん、あの子と添い遂げてやって欲しいんだ｣
ぶくぶくっ、と俺の口から大量のあぶくがたちのぼる。今こいつは何を言った。
イ｢なななななななななにを言って｣
歩杜里｢おや、考えたことなかったはずはないよね？｣
イ｢添い遂げてやれっておまえ、俺もあいつも死んでるんだぞ！？｣
歩杜里｢いや、"生きて"ここで僕と話している｣
"生きて"いるよ、と歩杜里はもう一度言った。
歩杜里｢今ここで過ごせる時間は、君の妹と母親がくれたものだ。彼女たちは君が片割れと共に成長することを知っているんだろう。＿＿＿ねえ、君が浄化されないまま、ここで暮らすことを選んだ理由はなに？｣
歩杜里に問われて、俺は沈黙した。
俺がここにいる理由？
妹の幸せを願うよりも大事なことは、この先きっとこの魂が尽き果てるまで現れない＿＿＿＿そう思い込み、そうあるべきだと思いながら過ごしてきた。
イ｢…妹が大事だから。また会いたいから。一緒に母さんのとこに行きたいから。｣
歩杜里｢それはきっと時間がかかるね｣
イ｢その間はここであいつらと楽しくやるよ｣
歩杜里｢僕はあの子を"生かして"やりたい｣
歩杜里の言葉が、Aのことを思い起こさせた。あの、優しい笑顔のことを。
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kalisu - めっっっっちゃ面白いです！！！ (5月20日 22時) (
レス) @page17 id: 350d3d48ac (このIDを非表示/違反報告)
そぞろ(プロフ) - 神影さん» 全然そんなことないですよ！四ツ目神たくさん楽しみましょうね！ (2019年1月13日 12時) (レス) id: cd9a550aa8 (このIDを非表示/違反報告)
神影(プロフ) - そぞろさん» すみません、気を遣わせてしまい…もし、読めたら報告します！ (2019年1月13日 12時) (レス) id: 98976194be (このIDを非表示/違反報告)
そぞろ(プロフ) - 神影さん» そうなんですね。神影さんのいつかの楽しみのためにショートストーリーのネタバレは極力しないよう気をつけて書かせていただきますね.*･ﾟ (2019年1月13日 12時) (レス) id: cd9a550aa8 (このIDを非表示/違反報告)
神影(プロフ) - そぞろさん» ショートストーリー読みたいんですが、親にお金を払ってもらっているので交渉が難しいです(汗)でも、いつかきっと読みたいと思います！ (2019年1月13日 12時) (レス) id: 98976194be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そぞろ | 作成日時：2018年11月21日 16時
