delicate ページ1
.
「……ん、」
カーテンの隙間から溢れ落ちる光に、目を薄め、徐々に視界を開くと、見覚えの無い天井が視界に映り込む。
「……え、…」
ここ、どこだっけ。いや、それよりも、昨日の記憶が全くない。ていうか、今何時だ。 混乱する脳内を他所に、どくん、どくん。と激しく鼓動する胸に冷や汗を零しつつ、ゆっくりと辺りを見渡す。
「……っ、！？」
そこには、私の隣ですやすやと眠りにつく角名倫太郎と、ベッドの周りには脱ぎ散らかされたお互いの衣服があるだけ。そっと、布団を剥がせば、何もかもが露わな状態の自分が居て、ズキンと頭に痛みが走る。これ以上の現実は受け止めきれないと言わんばかりの痛みに、目を細め、手の届く位置にある自分の携帯を手に取り時計を見る。
「…やば、10時…」
遅刻だ。大遅刻だ。更に指を進めれば、母親からの着信と、学校からの着信で溢れた通知に目を瞑り、溜息を着く。
「ああ、もうなんなの……ほんとにいやだ、」
隣で、しかも全裸で眠る彼の姿をちらりと見た私は、もう一度大きな溜息を零し、彼を起こさないようにそっと布団から身を捩らせる。脱ぎ散らかされた服を拾おうと膝を曲げた瞬間に、ズキリと重く走る腰の痛みに、これは現実なのだと再度認識をさせられた。
『……かわい、』
触れた唇がそっと離れて、彼の手が、指が、温度が、私の肌に触れていく。記憶が曖昧だけれど、ゆっくり正常に戻ってく自分の脳が、昨日の出来事を途切れ途切れに思い出させる。彼の低い声が私の脳を深く刺激して、頭にこびりつく。いっそのこと、彼の記憶ごと全て無くなればいいのに。そんなことを考えながらそっと、鞄を手に持ち、ホテルを後にする。
_どうやら私は、同じ部活の選手に手を出されてしまったようです。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 876人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
CAORU(プロフ) - あぁめっちゃいいです好きです大好きです (3月27日 0時) (
レス) id: 649305057b (このIDを非表示/違反報告)
なめくじ - こんにちは！神作すぎます！続きが気になる‥ (3月26日 15時) (レス) @page5 id: 14ee6c9b6d (このIDを非表示/違反報告)
ささささな - こんにちは！こんな素敵な作品に出会えて嬉しいです。更新頑張ってください！応援しています。 (3月26日 11時) (レス) @page5 id: 2cec29415a (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 初めまして、いや、すごいです！めっちゃおもろいです！角名のこういった作品はなかなかないので、読めて嬉しいです笑 ありがとうございます。更新頑張ってください！ (3月26日 8時) (レス) @page5 id: 153e42c66a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：七星
| 作成日時：2024年3月26日 1時
