ハコヅメ ~ 才色兼備の警察官 ~

二十九話　似顔絵 ページ30

犬飼「…はは、面白いね」








川井さんが描く伊賀崎さんの絵を見てそういう。


ちなみに紙に顔を描かれている張本人は、うちわを大事そうに持って睡眠中。






それにしてもよく特徴を捉えて書けているなと思う。

そのままじっと絵を描く姿を眺めていると、外で道案内をしていた藤さんが帰ってきてなにそれ、と一言。






川合「あっ、いや、これはハコ長に無理やり…」


藤「ほぉ。」


伊賀崎「あ。藤君お疲れ様」


藤「おはようございます。公務中に寝てましたね」


伊賀崎「寝てない寝てない。考え事してただけ」






いつもより早口になりながら寝ていないと言い張る伊賀崎さんだけど、藤さんによだれがついていると嘘を吐かれ見事に騙されていた。




いつ聞いてもこの二人の会話のテンポは面白い。






伊賀崎「藤君上司をからかって楽しいかい？」


藤「楽しいです」


犬飼「んー、即答」






流石と言うものか、藤さんは嘘偽りのない表情でそういった。






藤「川合に何頼んだんですか？」

伊賀崎「あーこれね。最近ほら、振り込め詐欺が増えてきてるじゃない。
だから注意喚起のチラシ。

これ、オリジナルでやろうと思って。」






その後も対象は高齢者の人、絵はシンプルにいきたい、などなど藤さんに説明をする伊賀崎さん。






藤「それにしても、独特なタッチだね」


川合「ほらぁ〜だから言ったんですよ私絵下手だし〜！」


犬飼「けど、それでも誰かわかるから中々すごいと思うよ」


藤「Aのなんてピカソみたいだもんね」


犬飼「私の絵そんな酷いんですか」


川合「えーAさんいが〜い！！」






絵が下手だという認識はあったけど、そこまでとは思っていなかったな。


確かに、言われてみれば私の絵を見た人たちの目がすごいことになってたしそういうことなのか。






伊賀崎「そんなことはいいんだよ。これ私？私だよね？
これホクロ？これレーズンじゃない」






隣にいる伊賀崎さんが何やら文句を言っているが、全員でスルーしていたところで無線が鳴った。






《本部から町山。

「スーパー大安」で女が「源刑事が来てくれないと万引(まんびき)する」と言っている。》

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