【歌い手】捨てられない想い３（そらる）

百五話 ページ25

多分もうコンサートは終わっているだろう
今頃会場外は沢山の笑顔と声で溢れかえっていて、そらるさん達もお疲れ様でしたと笑い合ってるだろう


そんな中、そらるさんに会いたくて必死な私は少し場違いだと思う
会いたい時に会わなくて、自ら身を引いたくせにまた会いたいんだと必死なんだから
もしかしたらそんな私を否定する人の方が多いだろうと冷静になった頭で考えてみるけれど、それでもやっぱり会いたいが勝ってしまう私は物凄く傲慢だ




「はいこれ、関係者パス、そらるさんからもらった
関係者の入り口から入ってだって」



運転中
渡されたのは私が以前歌い手くんに渡したものと一緒のもの




『ありがとう』



「ん。」



その関係者パスを握りしめて、会場はまだかとそわそわする
コンサートが終わった後だから反対車線は少し混んでいる
そんな車を見る余裕も無いくらい私の頭はそらるさん一色だ



そして私にはまるで長い時間だったように感じた運転が終わりコンサート会場に着く




『今日のお礼、いつか、絶対するからっ、ありがとう』




「はいはい、気長に待ってるよ。
ほら、行ってらっしゃい、俺も後で追うから」



たどたどしい言葉で一番伝えたい言葉を伝えた後私はまっしぐらに会いたい人に会いに走った




______こんなにも好きな人に好きだと伝えられるのはきっと奇跡なんだろう

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