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ビデオ通話 ページ8

司咲は、スマホを握ったまま寝てしまった。つばさとのトーク画面を開いたまま。電話をかけようとして、操作の途中で意識を失うように寝てしまった。移動だけだけど、疲れていたのかもしれない。

不意に電話が着信を知らせた。時刻は午後8時を回った頃。びくっと手が震えて、司咲の指が通話ボタンに触れた。けれど、司咲本人は夢の世界に旅立ったままだった。

「司咲ちゃん、電話……」

軽く揺するが、司咲は目を覚まさなかった。

『もしもし?』

そんなつばさの声がスマホから聞こえて、朱音はスピーカーにするとスマホの向こうに声をかけた。もしかしたら、この音で司咲が起きるかも、と期待した。

「崎山さん、すみません。司咲ちゃん寝ちゃったみたいです…」

『そうですか…。分かりました』

「起こしましょうか?」

『いえ。慣れない土地で疲れていたのだろうし、大丈夫です。ありがとうございます』

「……つばさくん…」

ふわふわと、寝ながら言葉を紡ぐ司咲につばさと朱音は吹き出した。

「私はちょっと席外しますね」

『すみません。ありがとうございます』

朱音が部屋を出る、ドアの音が聞こえた。司咲の握っているスマホがビデオ通話に切り替えられた。

「それじゃ」

つばさもビデオ通話に切り替えて、眠っている司咲を眺めた。寝息だけが聞こえる室内で、つばさは電話越しに司咲の寝顔をずっと見ていた。

それから5分くらいして、司咲はゆっくりと目を開けた。

『あ、起きた?』

焦点の合わない司咲の瞳が少しだけ宙を彷徨ってから、見開かれた。

「あれ、つばさくん⁉︎…私、電話してた?あれ?」

慌てて起き上がる司咲に、つばさは小さく笑った。

『電話が繋がった時にはもう寝てたよ。寝顔がかわいくてつい、観察してた』

「………バカじゃないの」

プイッと顔を逸らす司咲はスマホをベッドボードに立てかけると、伸びをした。

『司咲。浴衣、少し乱れてる。ちゃんと直して』

「え?」

浴衣をチェックすると、左側の布が少し上がっていた。だからといって、どこかが見えているわけでもなく。ただ、真剣な声でそう言うつばさの言葉に従って直した。

「……どこも見えてなかったけど…」

『ダメだよ。男はみんな狼なんだから、少しでも隙を見せたら襲われるよ』

「そんなこと…」

『奨悟に、何回かキスされてるでしょ』

浴衣→←お腹



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作者名:星ノ宮昴 | 作成日時:2022年6月5日 21時

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