キス ページ4
壁に追い込まれて、司咲はつばさを見上げた。
「キスしよう」
そう言われて、司咲は頬を染めて俯いた。頬につばさの手が触れて、顔を上げさせられた。
「いつも、許可なんて取らずにキスしてくるくせに」
「かわいい」
そっと唇に優しくキスをすると、司咲の瞼が閉じられた。腰につばさの腕が絡みついて、頬を撫でられる。
キスした唇に優しく指を這わせると、またキスをした。何度も角度を変えながら、柔らかい唇に吸いつくと腰に司咲の腕が絡みついた。
唇に舌が触れて、驚いて唇を開いてしまった。ゆっくり舌が入ってきて、絡め取られた。深く、濃厚なキスは恥ずかしくて、体中を熱くした。
力の抜けた司咲の足の間につばさの足が差し込まれて、足一本で体を支えられた。
つばさの舌が口の中で動くたびに、甘い声が漏れてしまい恥ずかしかった。背中は壁で、逃げ場なんてなくてただつばさの背中にしがみついた。
唇が離れると、真っ赤な頬に口付けられた。恥ずかしくて俯くと、今度は首筋にキスをされ、服のボタンをひとつ外すと、鎖骨に唇を押し付けた。強く肌を吸って赤い跡を付けると、つばさはそこを撫でて微笑んだ。
「明日からしばらく会えなくなるね…」
「きゃっ」
抱き上げられて、司咲はつばさの首にしがみついた。それがかわいくて、唇に触れるだけのキスをした。
「ねぇ、寂しいのは俺だけ?」
「永遠に会えないわけじゃないんだから…」
ベッドに組み敷かれて、司咲はつばさを見上げた。ぷぅ、と頬を膨らますつばさは司咲の唇にキスした。
「それでも、俺は寂しい。仕事だから仕方ないけど、司咲と離れるのは寂しいの!」
「夜になったら連絡するから…」
「それだけじゃ嫌だ」
不満そうに見つめられて、司咲は困ったように眉を下げた。
「電話して。司咲に会えないなら、せめて声が聞きたい」
「分かった」
「ねぇ、しばらく会えなくなるんだよ?寂しくないの?」
細い指がつばさの頬に触れた。不服そうな表情をするつばさの唇が司咲の名前を呼んだ。
「…私は…。大丈夫よ」
ぎゅっと、ベッドに押さえつけられた両手を強く握られた。
「…痛い…」
顔を歪める司咲に、つばさはハッとして両手を離した。
「…ごめん」
ベッドから降りたつばさは、寝室から出て行ってしまった。
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作者名:星ノ宮昴 | 作成日時:2022年6月5日 21時