検索窓
今日:14 hit、昨日:16 hit、合計:4,092 hit

大丈夫 ページ9

ピン、と張られた結界に満足そうに頷いた司咲は立ち上がった。つばさの側に行くと、彼は微笑んでいた。

すとん、とつばさの隣に腰を下ろすと髪を撫でられて肩を引き寄せられた。司咲は大人しくつばさの肩に頭を預けた。

「…生き別れた妹ですって言われたらどうする?」

「突然だね。……言われたの?」

「私にあったこと、つばさくんは聞いてこないじゃない」

「司咲が話すの待とうかなって。あんまりいい話じゃないんだろうし、無理には聞けないよ」

髪を撫でていたつばさの腕に司咲は両手を絡めた。

「博喜さんと一緒に行った喫茶店の店員さんに言われたのよ。妹だ、て。会いたかった、て」

思い出したらまた、泣きそうになってつばさの手のひらに手を重ねた。握られた温もりに安心する。

「私、逃げちゃったから…。後から聞いた話なんだけど、その子の名前は本庄りなだって。私、愛されてなんていなかったのよ。…私だけが捨てられた」

つばさを見上げて、司咲は腕を解いた。

「お願い、つばさくん。私を抱きしめて」

「もちろん」

つばさは司咲の背中に腕を回して、優しく抱きしめた。

「…もっと。もっと強く」

ぎゅっと力強く抱きしめられて、司咲はつばさの背中に縋るように腕を回した。

「大丈夫だよ。大丈夫。…司咲のことを愛している人間はここに1人はいるから」

「…うん」

少しだけ腕を緩めると、つばさは司咲の頬に手を添えてキスをした。柔らかな唇を舌で濡らすと、食べるようにキスをした。

角度を変えると、司咲の涙がつばさの手を濡らした。司咲の唇の割れ目に舌を這わせると、ゆっくり開いた。舌を入れると、優しく絡めた。司咲もつばさの舌に応えるように動かすと、密着度が増えて嬉しくなった。

唇を離して、司咲の濡れた頬を拭った。

「大丈夫。俺が側にいるから」

「つばさくん。ありがとう」

彼の首に両手を回して抱きしめた。

「私、ちゃんと向き合ってみる」

「着いて行こうか?」

「いい。1人で行く。…今日はデートしよう」

「分かった」

「……大好き」

つばさの唇にキスをして微笑むと、頭に彼の手が回った。足りない、とでも言うようにキスをされた。

「…抱きたい」

耳元で爆弾発言をするつばさをどん、と押した。真っ赤になった司咲をつばさは愛おしげに眺めた。

「い、今はダメっ!」

映画→←結界



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (8 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
26人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:星ノ宮昴 | 作成日時:2022年3月16日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。