結界 ページ8
目を覚ますと、つばさの腕枕で眠っていたことに気がついた。体に何も纏っていないことが昨夜の出来事を思い出させて、今更恥ずかしくなった。つばさの方に顔を向けると、彼は司咲を見つめていた。
「おはよう」
「お…はよう」
抱き寄せられてキスをされた。目を閉じて応じる司咲の髪を優しく撫でた。
「体痛くない？」
「大丈夫」
カッと頬を赤くする司咲は両手で顔を隠した。
「後悔してない？」
「…するわけないでしょ」
司咲はつばさの首に腕を回して、抱きついた。つばさに抱かれて、後悔なんてするわけがない。むしろ、嬉しかったのだ。
「大好き」
つばさは司咲を抱きしめ返した。
「俺は愛してる」
柔らかい頬に口付けて、細い体を離した。起き上がって2人は脱いだ服を着た。シャワーを浴びて、ご飯を食べると司咲はつばさに手招きされた。
「座って」
膝を叩くつばさに司咲は笑顔でやだ、と拒否した。
「足開いて」
大人しく開脚したつばさの足の間に司咲は座った。つばさに寄りかかって、彼を見上げた。
「これがいい」
抱きしめられて、お腹のあたりにつばさの手が触れる。
「司咲、思った以上に細かった」
お腹をさするつばさの手をパシっと叩いた。
「うるさい。…太れないんだから仕方ないでしょ」
「気にしてるんだ」
「……してないわよ」
振り向いて睨みつけてくる司咲の唇にキスをして、微笑んだ。
「あ、つばさくん仕事は？」
「今日はオフだよ。司咲は？」
「私も今日までお休み」
「じゃあ、デートしよう」
「うん」
立ち上がった司咲はつばさを振り返って、抱きついた。
「少しだけ時間ちょうだい」
「うん？」
「ここに結界を張るって言ったでしょ」
「そういえば。…分かった。待ってるよ」
触れるだけのキスをして、司咲は旅行カバンから札を数枚取り出した。部屋を見回して、司咲は寝室のドアを開けて、リビングと寝室の境目に座った。
「すごい微妙なところに座るね？」
近寄ろうとしたつばさを司咲は制した。
「お触り禁止」
「えー」
不満そうな顔で、ソファに座り直したつばさは司咲に視線を注いだ。
札を床に置くと、司咲は両手を2回打った。右手の人差し指と中指を立てて他の指を折り曲げた司咲は目を閉じて口の中で真言を唱えた。風もないのに髪が靡いていた。
昨夜の彼女を思い出して、つばさは頬を緩めた。
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作者名：星ノ宮昴 | 作成日時：2022年3月16日 12時
