はじめて ページ7
東京に帰ってきたのは深夜だった。それぞれお風呂に入りパジャマに着替えた。顔に化粧水を塗るつばさを、司咲はスマホをいじりながら見つめていた。
「……もしかして、男が化粧水塗るの嫌だな〜とか思ってる？」
「違う」
司咲を振り向いたつばさはヘアバンドを取ると髪を直した。
「終わった？」
「え？うん」
司咲はつばさに近付くと、その体に抱きついた。肩に顎を乗せるように、司咲の両手が脇の下を通って肩に絡みつく。そっと背中を抱きしめ返すと、嬉しそうな笑い声が聞こえてきた。
「…嬉しい？」
「うん」
「かわいい」
髪を撫でて、司咲を優しく抱きしめた。
「愛してる」
耳元で囁くと司咲の腕の締めつけが強くなった。照れている証拠だった。
少しだけ離れると、顎を持ち上げた。真っ赤な頬を撫でて、ゆっくりキスをした。目を閉じた司咲は嬉しそうに口角を上げた。押し付けた唇がゆっくり開いて、司咲の舌がつばさの唇を遠慮がちに舐めた。びっくりして唇を離したつばさの肩に両手を置いて、再びキスをした。
キスをしながらつばさを押し倒して、司咲は色っぽく微笑んだ。
「…我慢、できなくなる…」
「…私、精一杯誘ってるんだけど」
「後悔したって知らないからね」
「しないわよ」
いつの間にか司咲が押し倒されていて、情熱的にキスをされた。唇を開いた司咲の口内に舌を入れると、ゆっくりとかき乱した。舌を絡められて、司咲はつばさの背中の服をぎゅっと握った。
背中と膝裏に腕を差し込まれて、司咲は軽々と抱き上げられ、寝室のベッドの上に優しく寝かせられた。
「本当にいいの？」
こくりと頷いた司咲はつばさの首に両手を回して、キスをした。優しく頭を枕に戻されて、深くキスをした。
「はじめてなの。優しくしてね」
「善処するよ」
ボタンを外すつばさの指が遠慮がちに肌の上を滑る。司咲はつばさの手首を掴むと、胸の膨らみに誘導した。
「…積極的すぎる…」
つばさは司咲の胸を柔らかく愛撫した。甘い声が漏れる司咲の唇を塞いで、腰のラインをなぞった。
「つばさくんも脱いで」
司咲の指がつばさのパジャマのボタンを外した。お互いに裸になって抱き合った。想像よりもずっと細い司咲の体にキスを落としながら、優しく抱いた。
つばさの腕の中で司咲は幸せそうに微笑んだ。きっとこの日のことは一生忘れられないだろう。
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作者名：星ノ宮昴 | 作成日時：2022年3月16日 12時
