大好き ページ6
つばさは司咲に握られた手を引き抜くと、両手で彼女の両手を包み込んだ。
「…付き合おうか」
「うん」
嬉しそうに笑う司咲に近づくと、そっと唇にキスをした。目を見開く司咲の頬に手を添えて、優しいキスをするとつばさは唇を離した。
「…2人きりになってからって…」
「ここなら死角だしいいでしょ」
そう言って、つばさは再び口付けた。頬の熱には気付かないふりをして、司咲は目を閉じた。頬に添えられたつばさの手が輪郭をなぞるように撫でると、キスを終わらせた。
すとん、と座った司咲はメニュー表を開いてつばさに見えるように立てた。
「どれにする?」
メニュー表を盾に顔を隠した司咲の両手が熱を持っていることに、つばさは気付いていた。ちゃんとソファに座って、つばさは目を通すフリをした。
「コーヒーにしようかな」
メニュー表を抜き取ると、つばさは司咲の目の前に置いた。
「司咲は?」
司咲は真っ赤な頬を両手で覆うと、俯いた。
「……いちご大福と緑茶…」
熱が引かなくて、伏せた司咲の頭を撫でてつばさは注文を済ませた。
「ありがとう」
微笑んだ司咲の手に手を重ねた。
「…かわいい」
「……バカ」
ふいとそっぽを向いた司咲はつばさの手を握り返した。テーブルの上で繋いだ手は温かかった。
「聞いていい?」
「何を?」
「どうして急に付き合おうと思ったの?待っててって言われたの、最近だと思うんだけど」
「…不安にさせていたんだと思ったから。つばさくん、すごく怒ってたから」
「嫉妬だよ。ダサい嫉妬」
「嬉しい」
ふわりと柔らかく微笑む司咲はつばさの手を離すと、立ち上がってつばさの隣に移動した。
「奨悟さんが諦めてくれなくて。これが分かりやすいかなって思ったの」
つばさの腕に腕を絡めてくっついた。
「それだけじゃないわ。大好きだから、側にいたいの」
「司咲」
呼ばれて顔を上げると、唇を重ねられた。目を閉じた司咲の背中に腕を回して、つばさはキスの角度を変えた。司咲の両手が肩に回ってきた。それが嬉しくて、何度もキスをすると、司咲の頬が真っ赤に染まった。
「かわいい。好き」
瞼にキスをして、幸せそうに笑った。真っ赤な顔で腕に抱きついてきた司咲は肩に頭を預けた。
「大好き」
ソファから少し腰を浮かせると、司咲はつばさの唇に一瞬だけキスをした。
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作者名:星ノ宮昴 | 作成日時:2022年3月16日 12時