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結婚 ページ50

「……帰るね」

そう言う奨悟の手を掴んだ。

「奨悟さん、せめて」

助けてもらった礼をしたいと、そう言う前に奨悟はやんわりと腕を解いた。

「僕と付き合えないなら、優しくしないで…。司咲ちゃんを諦められなくなる」

「…ごめんなさい」

「…またね、司咲ちゃん」

「……うん。好きになってくれて、ありがとう」

「…誰よりも幸せになってね。じゃないと、僕はつばささんから君を奪いに行くから」

奨悟がドアを開けると、入れ替わるようにつばさが入ってきた。泣いている司咲を優しく包んでくれる腕にしがみついた。

「つばさくん、側にいて」

「うん。ずっと側にいるよ」

頬に触れて、そっとキスをした。安心させるように、優しく。

「……もう1回」

そう言って目を閉じる司咲の瞼に唇を落とした。両方の瞼と鼻と、両方の頬に口付けて、最後に唇を重ねた。

「つばさくん、震えが止まらないの。お願い、早くつばさくんの家に連れて帰って。ここは嫌。怖いの」

「分かった」

司咲は荷物をまとめると、つばさと手を繋いで家を出た。ドアは鍵の部分が壊されていて、鍵を閉めることはできなかった。

つばさの車に乗り込むと、家へと出発した。



ご飯を食べて、お風呂に入り、寝る支度を整えてつばさと司咲はベッドで横になっていた。司咲はつばさの胸に頬を寄せた。髪を撫でるつばさの首に両腕を回した。

「…つばさくん、私を抱きしめて」

「うん、いいよ」

つばさの腕が司咲を優しく包み込んで、嬉しくて微笑んだ。

「もっと強く」

ぎゅっと強く抱きしめられて、やっと安心した。

「助けてくれて、ありがとう」

「無事で良かったよ」

髪を撫でるつばさの手が優しくて、この人と離れたくないと思った。タイミングとか、シチュエーションとか、全く考えずに口から言葉が溢れた。

「…私をつばさくんの妻にしてほしい」

「えっ?」

「つばさくんが好き。私と結婚して」

司咲はつばさの唇にそっと口付けた。後頭部を押さえられて、貪るようなキスの後、唇を吸われて抱きしめられた。

「本当、敵わないよ。司咲には」

プロポーズの言葉はずっと考えていた。シチュエーションとかタイミングとか、ずっと考えていたのだ。こんなにもあっさりと言われると思っていなかった。

「俺も司咲が好き。いや、愛してる。絶対に幸せにするから、俺と結婚してください」

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作者名:星ノ宮昴 | 作成日時:2022年3月16日 12時

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