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食事が終わると、つばさはどこかから箱を持ってきた。

「司咲」

隣に座ると、つばさは司咲の肩を抱き寄せた。顔を覗き込むと、優しく微笑まれた。肩に触れていた手が髪を触りはじめ、司咲は目をパチパチと瞬かせた。

「……あれ?」

髪をくるくるといじり回すつばさの手を掴んで、目の前に持ってきた。握られていたのは、青い花の飾りがついた簪だった。

「……簪って難しいね。……かっこ悪…」

肩を震わせて笑う司咲の唇を奪った。髪を撫でるつばさのキスに目を閉じると、唇が離れていった。瞼を開くと、視界に映るのは色とりどりの花のブーケだった。

「明日だけど、お誕生日おめでとう」

「ありがとう」

両手で花を受け取ると、司咲は嬉しそうに微笑んだ。花の香りが鼻腔をくすぐった。

「嬉しい」

微笑む司咲の顎に指を這わすと、そっと唇を塞いだ。司咲は両手で持ったブーケを潰さないように腕に抱いた。

目を閉じた司咲の唇を貪るように、角度を変えながらキスをした。キスが終わると、頬を撫でられて赤い顔から火が出そうだった。

「好き」

俯く司咲の髪を撫でると、つばさは髪を一房手に取るとそこにキスをした。つばさは立ち上がると冷蔵庫からケーキを持ってきた。

「食べる?」

「うん、食べる!」

色とりどりのフルーツが生クリームの上に飾られていて、おいしそうだった。

「いつ作ったの?そんな時間なかったよね?」

「司咲が寝てる間に作ったの。司咲の寝顔もかわいかったけど、こうやって喜ぶ顔もかわいい」

一瞬、唇を塞ぐとつばさはケーキを切り分けてくれた。さすがに2人でホールケーキ1つは食べられないので、残った分は明日食べることにして冷蔵庫に戻した。

「…おいしい」

「良かった」

「ありがとう、つばさくん。私、基くん以外の人に誕生日祝ってもらったの、はじめてだから本当に嬉しい」

「誕生日を祝うのは当たり前だよ。だって、司咲は俺の特別な人だから」

「つばさくんの誕生日は私が全力で祝うからね」

「楽しみにしてる」

じっと見つめられて、司咲は花をテーブルに置くとつばさの肩に両手を置いて、キスをした。食べ終わったケーキの味がした。

「つばさくん、大好き」

髪を撫でられて、また唇が重なった。

甘い空気が心地よくて、つばさも司咲も感情の向くままにキスをした。

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作者名:星ノ宮昴 | 作成日時:2022年3月16日 12時

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