小動物のよう ページ41
家に帰ると、すぐにテーブルの上に並べられた食事。いつのまにかつばさが作っていたらしい。
「ちょっと高めのレストランを予約するか迷ったけど、司咲はこっちの方が好きかなって思って」
「嬉しい!私、つばさくんのご飯大好き!」
つばさに抱きつくと、司咲は嬉しそうに微笑んだ。髪を撫でられて、体を離した。
「キスしていい?」
問いかけられて、司咲は頬を染めて小さく頷いた。頬を両手で包まれて、目を閉じるとつばさの唇が触れた。噛み付くようにキスをするつばさの背中に腕を回すと、キスの角度を変えた。
何度も交わしているはずなのに、慣れなくて頬が赤くなる。恥ずかしくて顔から火が出そうだった。
唇を離すと、つばさは司咲の頬を撫でて抱きしめた。
「愛してる」
髪を撫でられて、司咲はつばさの背中の服を掴んだ。誰よりも大好きで、だからこそ恥ずかしくて顔が火照っている。
「司咲は?俺のこと、どう思ってる?」
「……わ、たしは」
司咲はつばさの肩に手を置くと頬に口付けて、首に腕を回した。
「…大好き」
回した腕を離すと、見つめ合った。顔が近付いてきて、唇が触れるか触れないかの距離で、お腹がぐぅと鳴った。お腹を押さえた司咲につばさは笑いかけた。
「ご飯食べよう」
つばさはサーモンの刺身を箸でつまむと、司咲の口元に持ってきた。
「はい、あーん」
司咲の頬がさらに赤くなった。恥ずかしくて唇を開けられずにいると、甘い声で催促された。
「ほら、口開けて」
小さく唇を開くと、口の中につばさの箸が入ってきて、サーモンを舌の上に置かれた。もぐもぐと咀嚼する司咲がかわいくて仕方がない。つばさは同じ箸でサーモンを食べた。
「…おいしいね」
微笑むと、司咲もぎこちなく頷いた。
「そんなに恥ずかしいの?俺たち、もっと恥ずかしいことしてるのに」
「う、うるさい」
「照れてる司咲もかわいいから、俺は好きだけどね」
ちゅ、とキスをしてつばさは微笑んだ。卵焼きに箸を伸ばす司咲をつばさは優しく見つめた。食べる姿は小動物のようで、かわいかった。
「…かわいい」
そう呟くと、箸を持っていない方の手で肩を叩かれた。ただの照れ隠しだ。それもかわいくて、つばさは司咲だけを見つめた。愛おしい人は卵焼きをもぐもぐと噛んでいた。
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作者名:星ノ宮昴 | 作成日時:2022年3月16日 12時