コンビニ ページ37
「あのね、6月18日から大阪なの。ごめんなさい。なかなか言い出せなくて…」
「俺がやきもち妬くから？」
「……うん」
つばさの手が司咲の手に触れて握った。
「……やきもちは妬く。でも仕事なら仕方ないよね」
握った手を離すと、つばさは道のカーブに沿ってゆっくりハンドルを回した。
「できるだけ、奨悟と2人きりにならないで」
「うん。分かった」
「司咲、大好きだよ。大好きだから、嫉妬しちゃうけど許してね」
「…私も嫉妬するから大丈夫よ」
車がゆっくりと停車した。コンビニの駐車場に停車して、つばさは司咲の頬に触れた。
「…キスしたい」
「ここ、外なんだけど」
「シート倒せば見えないよ」
「…仕方ないわね。少しだけよ」
シートを倒すと、つばさは司咲の唇を指で撫でた。それだけで頬を染める彼女がかわいくて、唇を塞いだ。彼女の耳を塞ぐように撫でると、つばさはそっと顎に指を添えた。
1度離れた唇はまた塞がれて、髪を撫でられた。重ねられた唇がキスで震えた頃、つばさの舌が唇を割って口内に侵入してきた。舌を絡められ、深い深いキスに溶かされそうだった。最後に唇を舐めて優しいキスをすると、つばさは司咲の赤い頬を両手で包んで微笑んだ。
「かわいい。飲み物、買ってくるからちょっと待ってて」
司咲は頷くことしかできなくて、赤くなった顔を両手で覆った。
5分くらいして帰ってきたつばさはもう1度、横になっている司咲の唇にキスをすると髪を撫でてシートを起こした。
「はい、ミルクティー」
「…ありがとう」
司咲もシートを起こすと、火照った頬を冷まそうと、もらった飲み物を頬に当てた。
車がゆっくり動き出した。運転するつばさの横顔を見つめて、司咲はミルクティーを一口飲んだ。冷たくて、甘くて優しい味がした。
「……私ね、つばさくんが好き。大っ嫌いだったのに、今では大好きなんだよ。どうしてだろうね。私、あんなに嫌いだったのに」
「俺は出会ってすぐ好きになったよ」
「うん、そうだったわね。すぐに告白してきたわね」
「でも、こうして付き合えて司咲の誕生日を祝える。俺はそれがすごく幸せだよ」
つばさの手が髪に触れた。優しく撫でられて、嬉しそうに頬を緩めた司咲はつばさを見上げた。
「愛してる」
つばさはそう言って微笑んだ。優しい笑顔は司咲だけに向けられたものだった。
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作者名：星ノ宮昴 | 作成日時：2022年3月16日 12時
