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許せない ページ26

「…少し、手を掴まれたり頭を撫でられたり…しただけよ」

不機嫌そうなつばさの顔が逸らされた。司咲はつばさを背中から抱きしめた。

「…怒らないでって言ったじゃない」

「…俺が助けたかった。奨悟と2人きりなんて…、嫉妬する」

つばさは司咲の腕を緩めると、振り返って正面から抱きしめた。

「……ねぇ、いつになったら奨悟をフってくれるの?……俺のことは秒でフったくせに」

「……ごめんなさい。奨悟さんがまだ諦めてくれなくて…」

つばさの背中に腕を回して、司咲は謝った。告白を断ろうとすれば抵抗されるのだ。今の奨悟はきっと司咲の言葉を聞いてくれない。

つばさはため息をついて、司咲の唇にキスをした。誰にも譲れない、大好きな恋人を全ての脅威から護りたくてつばさは唇を割って舌を入れた。逃げも隠れもしない舌を絡め取って、深くキスをした。

力の抜けた司咲の体をソファに押し倒すと覆い被さった。

「…好き」

呟くような愛の言葉はしっかりと司咲の耳に滑り込んだ。嫉妬と心配と不安と少しの怒りがつばさの胸の内でぐるぐると渦巻いていた。

「司咲を傷つける人がいるなんて許せない。司咲を怖がらせるなんて絶対許さない。司咲を困らせる奨悟も…」

つばさの瞳がゆらゆらと揺れていた。

「…でも奨悟の気持ちは痛いほど分かるから…。俺も司咲に何度もフラれたし….」

つばさは分かるから、奨悟を責めることはできない。司咲はつばさの頬に手を伸ばした。体を少し起こすと、つばさの唇にそっと触れた。司咲にキスをされて嬉しそうなつばさは頭を支えると、角度を変えて貪るようにキスをした。

「……司咲を1人になんてしない。俺が守るから。……嫌だけど、最悪奨悟でいいから1人にならないで。しばらく泊まって。…それか、俺が泊まりに行く」

「うん」

つばさは、司咲を起こして抱きしめた。

「愛してる」

耳元で囁くと、司咲の体温が上がった。恥ずかしがっている司咲の髪を撫でて、愛を囁いた。

「司咲の髪の一筋まで愛してる。……ずっと一緒にいたい」

「……私も。つばさくんとずっと一緒にいたい。つばさくんに側にいてほしい」

つばさの背中に腕を回した司咲は彼の肩に顎を乗せるように抱きついた。

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作者名:星ノ宮昴 | 作成日時:2022年3月16日 12時

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