合鍵 ページ19
つばさの腕の中で目を覚ました。抱きしめられた体はつばさが気を遣ってくれたから、どこも痛くなかった。
「おはよう」
目が合って、優しくキスをされた。
「痛いところはない?」
「つばさくんが優しくしてくれたから、大丈夫」
「良かった」
つばさの唇にキスをして、司咲は彼の肩に顔を埋めた。
「会う度に体を重ねている気がする」
「司咲を前に、我慢できるわけないでしょ」
「胸を張って言われても…」
「司咲は分かってない。男ってそういうものだからね」
見上げてくる司咲の唇を奪って、髪を撫でた。目を閉じた司咲はつばさの首に腕を回して、嬉しそうに口付けを交わした。
「離したくないな…」
司咲を抱きしめて、つばさはそう言った。司咲はつばさを抱きしめ返すと、笑った。
「一緒に暮らしたい」
「…気持ちは嬉しいけど、まだダメ」
「……残念」
つばさの言葉を聞いて、小さく笑った司咲は彼の腕を解いて起き上がると、立って玄関へと向かった。
「司咲?」
つばさも起き上がると、司咲の名を呼んだ。すぐに戻ってきた司咲はつばさの両手を取った。
「あげる。不安なら、持ってて」
何かを握らされて、手を開くと一本の鍵だった。驚いて司咲を見ると、彼女はにこりと微笑んだ。
「いいの?」
「うん、いいよ。…あ、でもびっくりするから来る時連絡してね」
「うん、分かった」
つばさは司咲の髪に触れると、優しく撫でた。
「…ほんと、格好つかない。全部先越されるよ…」
抱きしめられて、司咲はつばさの背中に腕を回した。
「好き」
そっとキスをして、優しく微笑んだ。赤い頬に触れると、また口付けた。優しいキスはとても心地よかった。
唇が離れたと思ったら、今度は角度を変えてキスをされた。頬と頭に触れたつばさの手が少しだけ熱い気がした。
「…キスばっかり」
「嫌?」
つばさの胸に体を預けると、つばさの腕が回って抱きしめられた。
「…嫌、じゃない」
「なら良かった」
つばさは司咲の顎を掬い上げると、唇に口付けを落とした。長い長い、キス。角度を変えたり、強く吸ってみたりしながら交わしたキスは司咲とつばさの頬を赤くした。
頬を撫でると、つばさは司咲から離れた。カバンから何かを取り出すと、戻ってきてそれを司咲に握らせた。司咲の両手を握ったまま、キスをして微笑んだ。
「いつでも来ていいから」
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作者名:星ノ宮昴 | 作成日時:2022年3月16日 12時