幸せ ページ18
「きゃっ」
翌日の夜、つばさが司咲の家にやって来た。ドアを閉めて靴を脱いでいる時に抱きしめられて、司咲は思わず小さく悲鳴を上げた。
「……もう」
司咲は回された腕に手を添えた。
「会いたかった」
囁かれた言葉に司咲は頬を赤くした。離れていたのはたった1日なのにしばらく会えていないような言い方に司咲は笑った。
「とりあえず、入って」
司咲はつばさの腕を解くと、手を引いた。つばさは司咲に引かれるまま家に上がると、部屋に通された。
「座って座って！」
座布団の上に座らせて、司咲もつばさの隣に座った。どちらからともなく、手を繋ぐとそっと寄り添った。
「恋人みたい」
「恋人だよ」
つばさは司咲の顔に近付くと、そっと唇にキスをした。繋いだ手を恋人繋ぎにすると、目を閉じた司咲の頬に左手を添えた。赤い頬を撫でて、唇を離すとつばさは微笑んだ。
「かわいい」
頬に、耳に、首筋にキスを落とすと、繋いだ手を離して抱きしめた。大きな背中に腕を回した司咲はつばさの腕の中で幸せそうに微笑んだ。
「……大好き」
「俺も大好きだよ」
司咲は背中に回した手をつばさの肩に移動させた。少しだけ腰を浮かすと唇を重ねた。
唇を離すと聞こえた小さな笑い声。つばさは離れていく司咲を抱きしめた。
「なんの笑い？」
「幸せの笑い」
ぎゅっとつばさの肩に腕を絡めると、隙間がないくらい彼にぴったりくっついた。
髪を撫でるつばさは司咲の頬に触れた。
「司咲を幸せにできているなら良かったよ」
「つばさくんは？」
つばさは司咲の髪を優しく撫でた。耳元に寄せた唇を開いて、そっと囁いた。
「俺も幸せだよ」
微笑むつばさと抱き合って、司咲はこれ以上ないくらい幸せだった。
「つばさくんは幸せじゃないと困るわ」
「どうして？」
「あんなに言い寄って来て、付き合って幸せじゃないだなんて言われたら私、投げ飛ばしてるかも」
司咲の唇につばさはキスを落とした。細い肢体を抱いたつばさは真っ赤に染まる司咲の頬を見て微笑んだ。
「司咲と一緒にいて幸せじゃないなんて、ありえないよ」
キスをする2人の右手薬指にはお揃いのリングが輝いていた。キスをしながらつばさの手が服の中に入っていった。ピクリと震える腰を指でなぞって、はじめてつばさから司咲を押し倒した。
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作者名：星ノ宮昴 | 作成日時：2022年3月16日 12時
