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予定 ページ10

大阪でばったりと顔を合わせた博喜は一瞬固まった。気まずそうな彼に司咲は微笑みかけた。

「博喜さん、おはよう」

「お……はよう」

「私、大丈夫だから!……だから、いつも通りに接してほしい」

懇願するように見上げられて、博喜は一瞬言葉に詰まった。視線を数秒彷徨わせてから、司咲の顔を見た。

「…分かった」

小さく頷くと、司咲は笑顔の花を咲かせた。

「これからは、ちゃんと友だちだよ。よろしくね」

「うん、よろしく」

差し出された手を握り返して微笑みあった。フラれた事実なんてなかったかのように、和やかだった。

不意に握手している司咲の手首が第三者の手に掴まれた。

博喜の手から奪った司咲の手はつばさの手のひらに覆われていた。

「司咲ちゃんのばか」

「はあ?」

「本当、油断も隙もない」

「意味分からない。とにかく離して」

「やだ」

つばさの司咲を見つめる瞳と目が合って、思いっきり逸らした。

「…博喜さん、助けて」

「ごめんね。俺、これ以上つばさに恨まれたくはないかな」

司咲はキッとつばさを睨みつけた。

「それに、これ言ったら司咲ちゃん怒るかもしれないけど」

博喜はふふ、と笑った。

「つばさと司咲ちゃん、お似合いだと思うな」

「はぁ⁉︎なんでこんな人と!」

「当たり前でしょ。司咲ちゃんはこれから俺のこと好きになる予定だから」

「そんな予定ないわよ」

ちっと舌打ちをする司咲につばさは優しい笑顔を向けた。

「俺、邪魔みたいだから行くね」

「うん」

「えっ!ちょっと…」

引き止めようとした司咲をつばさは抱きしめて制した。

「ここにいて。俺の側にいてよ」

「…離して」

「博喜に心揺らさないで。俺を見て、俺を選んでよ」

右手がちょうどつばさの心臓の位置にあった。手のひらから伝わる鼓動が早かった。

「崎山さんを選ぶことはないわ。……嫌いなのよ」

「…………うん。俺は、好き。大好き」

ぎゅぅっと抱きしめる腕に力が入った。髪から香る彼女の匂いに愛おしさを隠せない。指で優しく髪を梳くように撫でた。

「…友だちじゃダメなの?」

「ダメだよ。恋人になりたい。君の特別になりたい」

つばさは司咲の体を離すと、頬を撫でた。そっと近寄るとかわいい頬に唇で触れた。

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作者名:星ノ宮昴 | 作成日時:2021年10月25日 23時

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