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マネージャー ページ25

ゼリーとカルピスの入った袋を片手につばさは司咲の泊まっている部屋をノックした。

「司咲ちゃん?入るよ」

ドアを開けると、シャワー室の前でうつ伏せになって倒れている彼女を発見してつばさは駆け寄った。

「司咲ちゃん⁉︎」

抱き起すと、荒い息を繰り返していた。

「……シャワー…浴びて、荷物を…まとめようと思ったんだけど…」

彼女の言うように、髪が濡れていた。つばさは司咲を抱きしめた。

「…無理しないで。…寿命が縮む」

「…ごめん」

「どうして無理するの。どうして頼ってくれないの」

「……頼ってるよ」

もう十分すぎるほど、つばさにはたくさん助けられている。

「…ねえ、もうチェックアウトしなきゃいけないでしょう?」

「…だけど、その体で帰るのは無茶だよ。1日伸ばそう」

司咲はゆるく首を振った。

「東京に帰る。……帰れば、基くんもいるし、落ち着けるから」

「……分かった」

つばさは納得していない顔で頷いた。

「でも、俺と一緒に帰ってもらう」

そっと頬を両手で包まれた。

「…君は強情だから、言い出したら聞かないって分かってるから」

「ありがとう」

「少し寝てて。勝手に荷物まとめさせてもらうけど、いい?」

小さく頷いた司咲の瞼がゆっくりと閉じられた。弱った彼女はいつも以上に守りたくなった。

「…好きだよ」

額に優しいキスを落として、髪を乾かしてつばさは彼女をベッドに横たえると、荷物をまとめた。とはいえ、もともときれいにしている彼女だから、ほとんど手はかからなかった。

スマホを取り出し、人を呼ぶとつばさは荷物をその人に預けて司咲を抱き上げた。意識のない司咲は、高身長なのにつばさに抱えられると少しだけ小さく見える。



ずいぶんと寝ていたような感覚がした。ハッとして目を覚ますと、一番最初に視界に入ったのはつばさの顔だった。

「目、覚めた?」

「…崎山さん…帰らなきゃ…っ!」

起きあがろうとした司咲の額を押して、つばさは彼女を制した。司咲の頭が柔らかいものの上に乗って、目をパチパチと瞬かせた。それがつばさの膝であると気付くまで、少々時間を費やした。

「今、帰ってるよ。俺のマネージャーが車に乗せてくれたよ」

その言葉でガタガタと時折揺れる車体に気がついた。運転席の方に顔を向けると、細身の男がハンドルを握っていた。

特別→←カルピスと桃のゼリー



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作者名:星ノ宮昴 | 作成日時:2021年10月25日 23時

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