高身長 ページ31
不意につばさと目が合って、司咲は表情を全て消して顔を逸らした。
分かっていたけど、相当嫌われているみたいだ。
「
はじめて、彼女から話しかけられて、つばさは嬉しくなった。
「つばさは優しいよ。穏やかだし、怒ったところを見たことがない」
「…納得できない」
基裕の言葉に司咲は渋い顔をした。もうここまでくると意地になっているのかもしれない。
「じゃあ、納得できるまで知ってよ。俺のこと」
つばさの言葉に司咲は無言だった。
「嫌っててもいいから。好きにならなくたっていいから。俺のこと、知ってほしい。司咲ちゃんのことを俺に教えて」
振り返れば、彼にはたくさん助けられた。霊だと間違えて逃げてしまった後も、怒りもせずにただ笑っていた。高確率でばったり会って、何かと助けてくれる。失礼な態度を取り続けても彼はいつも笑って助けてくれるのだ。
司咲はこくりと頷いた。司咲は差し出された手に迷いながらおずおずと手を差し出した。まだ触れてもいないのに、手をギュッと握られて司咲は思わず振り払ってしまった。
「やっぱり強引。嫌い」
「さ、ご飯行こう」
そう言って立ち上がった基裕の手を借りて、司咲は立ち上がった。帰る準備をしていた他のキャストに手を振って、司咲は基裕の後をついて行った。
高身長の間に挟まれて、司咲はちっと舌打ちした。
「巨人どもめ…」
「司咲だって小さくないでしょ」
「小さくないけど、基くんといると小さく見えちゃうじゃない」
「司咲ちゃん身長何センチ？」
「ええっと…」
遠い昔の思い出を想起した。
「中学の時は160だったから…」
うーん、と考える司咲だが、今の身長は覚えていない。あまり身長は気にしていなかったから。
「中学生で160あったの？結構高いね…」
中学女子で160cmは平均よりもずっと高身長だった。小さい男子くらいの身長だ。
近くのレストランに入ると、着席した。司咲の横には基裕、目の前にはつばさが座っている。運ばれてきた料理はどれもおいしそうで、司咲は一口だけ基裕とシェアした。つばさはそれに少しだけ嫉妬してしまったのは言うまでもないだろう。
「あのね、基くん！すっごくかっこよかったよ！」
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作者名：星ノ宮昴 | 作成日時：2021年6月29日 15時
