もしも、運命なら… (ページ17)

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まるでゲームページ17

「逃げられても、怒られても、謝ってこい。頭下げて来い」

「……うん。ありがとう、ひろくん」

その言葉と同時に休憩が終わった。

許してもらえなくても、許してもらえるまで謝るしかない。それに、何よりつばさは司咲に会いたいと思ってしまうのだ。

嫌い、と言われて傷ついたのは彼女のことが好きだから。彼女の『関わらないで』という言葉がつばさには『助けて』と言っているように聞こえて、どうしても放ってはおけなかった。

ドン、という衝撃がして司咲は目を覚ました。どうやら、再就職するにあたり職種で悩んでいるうちに眠ってしまったらしい。

目を擦って、体を起こすとキッチンの方に4体の霊が見えた。ぐるんと首を回して霊から顔を背ける。冷や汗が額を濡らした。

ドッドッと心臓が鳴る。脳が警鐘を鳴らす。恐ろしくて指先が冷えていくのが分かった。

財布とスマホを掴んで司咲は家を飛び出した。きっと見えていることはバレた。ここのところ連日、司咲は霊に追いかけられていた。どうしてこんな恐ろしい思いをしなければならないのか、と理不尽な現実を恨んだ。人間社会に馴染めないのはこの目があるからなのに。

早く神社に向かわなければ。振り返ると、一定の距離を保って追いかけてくる。それは悪意の塊だ。

この辺の神社だと、高確率でつばさがやって来る。それが嫌で、司咲は電車に飛び乗った。特急に乗ってしまったみたいで、30分弱揺られて新宿に着いた。霊は電車の窓に張り付いていた。

まるでゲームをしているようで、心底不快だった。駅のホームを出て、改札を抜ける。走っている司咲は非常識だが、自分の身を守るためには仕方がなかった。白い目で見られても、それはもう慣れっこなのだ。

走って走って、もうどこにいるのか分からない。ここにはこんなに人がいるのに、誰も彼らの姿を見ることができない。少し霊感のある人は寒気くらいは感じているかもしれない。

不意に靴が溝にはまって盛大に転んだ。後ろを振り返ると距離をあけて耳障りな声で笑っていた。

『大丈夫～？』

『鬼ごっこはもうおしまい？』

右膝に感じる痛みを我慢してまた走り出す。

どこかに神社がないかと見回すが、残念ながらそれらしき建物はない。怖くて怖くて泣きそうで、それでも立ち止まることはできずに走り続けた。血が流れるのにも構っていられない。