小さな君の成長日記【WT】 (ページ9)

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小学４年生になり、数週間が過ぎたある日のこと。

「今日は仲の良いお友達を描きましょう！」

３時間目の図工で、担任の木村先生が黒板に目標を書きながら生徒に伝える。
生徒たちはすでに近くの友達と一緒に書く約束をしていたが、一人だけ微動だにしなかった人物がいた。

『…』

そう、スマイルの引き取った子供、泣無笑椿である。

椿は元々人と関わるのを大の苦手とする性格。それをさらにスマイルという人と関わることが少ない人物の元で育ったのだ。その人見知りであり人嫌いはさらに加速した。これには、流石にスマイルも驚いた。メンバーである５人の方がとても驚いていたが。

「あれ、椿ちゃん、どうしたの？」

木村先生が椿に話しかける。どうやら、２人組を組めていないのは椿だけらしい。
椿はボーっとしていた目を戻し、先生に目線を向けた。

『仲の良い人がいないんです』

椿は、その場所、場面によって性格を変えることができる。とはいっても、大幅に性格を変えることはできない。
明るさの幅を変えたりとか、本当にそれくらいだ。
学校では敬語口調の大人びた性格。家ではマイペースで静かな性格。そう区別をつけていた。

椿は正直だった。正直者とは言い切れないが、嘘つきでもない。だからこそ、座り続けるという選択を取った。
当然である。椿にとっては、仲が良いと判断できる相手が居なかったのだから。
自分から話しかけることは得意じゃない。ならどうするか。
座って待つ。それだけだった。

この行動は何度も繰り返されていた。１年生の時も、２年生の時もずっとだ。

木村先生は慣れたとでも言いたげに笑い、一緒に絵を描こうと提案した。

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