小さな君の成長日記【WT】 (ページ13)

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私は木村春日。花島保育園のさくら組を担当している保育士です。
今日は、普段はとても大人しくていい子な女の子、泣無笑椿ちゃんの闇を見ていきます。
といっても、闇なんて軽いものじゃないかもしれない。

「…」

「お、おい！な、なんだよ！お前なんか、ただの１人で本読んでるだけのザコだろーが！」

「…ふふ」

一歩、二歩とゆっくりと男の子に向かっていく椿ちゃん。男の子は椿ちゃんの行動に驚きながらも、相手よりも上に立とうとして馬鹿にするような態度をしている。
正直、私が椿ちゃんだったら殴っていると思う。すごくイライラするし、そのイライラを発散したいとも思う。

でも、椿ちゃんは違った。目の前の椿ちゃんは、蛇のようにゆっくりと歩み、狼のように鋭い目つきをしている。だけど、口角が上がっているからか、さらに不気味さが増していた。
子役でも、あんな表情できるのかな？
私は、場所に合わずそんなことを考えてしまった。

椿ちゃんは小さく、だけども皆に聞こえるほどの声量で話をする。

「…ねえ、馬鹿なの？」

「…は？…はあ！？オレ馬鹿じゃねーし！馬鹿っていう方が馬鹿なんだよ！」

「そんなところが馬鹿な証拠なんだよね。」

椿ちゃんは男の子の耳元に顔を寄せ、かなりの時間口を動かしていた。その声は私たちには聞こえなかった。だけど、男の子だけは聞こえたのか、とても青ざめた顔でその場に座り込んでしまった。

私が男の子に近づいた時、椿ちゃんは１０ｍほど離れた保護者のスマイルさんに向かって歩いていく。意図的に呟いたのか。それとも、気づかずに呟いたのか。真相は、彼女だけしか知らない。

「…ふふ、私の大切な本が汚れそうになったんだもん。…絶対に、徹底的に潰してやる。」

私は、椿ちゃんはとても恐ろしい子なのだと理解してしまった。

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