小さな君の成長日記【WT】 (ページ11)

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ツバキの頭から血が流れていたのだ。ツバキの数歩離れたところには腕を前に振った直後であろう男の子が立っており、男の子がツバキに足元に転がる大きく少し重そうな石を投げたのだ。

スマイルとぶるーく、木村先生が一斉に椿の元へ向かう。男の子は椿に舌を出して馬鹿にするような顔をして「バーカバーカ！」と騒いでいた。

椿は立ち続け、本を開いたままで止まっていた。だが、本に血が垂れそうになった瞬間、本を体から離してスマイル達を見た。
椿の瞳はどろどろと濁っており、いつもとは違う雰囲気を感じた。

「椿ちゃん！大丈夫！？」

「椿、大丈夫か？」

ぶるーくが焦りながら椿の前髪を避け、血が出ている場所を見て本人よりも痛そうな顔をする。スマイルは何も言わない椿を見ながら頬に汗をつたわせる。
木村先生は救急キットを取りに行っていたようで、焦ったように救急キットを抱えてこちらに走っていた。
まわりの親たちもざわざわとし始め、何も言わない椿に対する心配や不安、不気味さを話したり、石を投げた男の子に対する話をしたりと様々だった。

「…ねえ」

椿がようやく呟いたのは、男の子に話しかける言葉だった。男の子はふんぞり返って自分は悪くないといった顔をしている。

「なんだよ？オレは謝んねーぞ！」

「そんなことじゃないよ。脳みそ詰まってないの？」

６歳児とは思えない言葉を放った椿に、石を投げた男の子もその周りの親たちも驚いた。
スマイルとぶるーくは「来たな」と思っていた。
この状態になったのは、１年前の５歳の頃。スマイル達６人と椿が撮影をしていた時の話だ。
Nakamuの腕にぶつかった珈琲が椿の本にかかったのだ。
読書家にとって、本は命であり親友。椿もそれは例外ではなかった。

「…ねえ」

「ご、ごめん！本汚しちゃった！」

「そう、じゃあ弁償してね。」

椿のまとっていたオーラのようなものがどす黒くなっていく。スマイル達もそれに気が付いたのか、びっくりして椿を見つめていたことがあった。

それがまた訪れた。スマイル達はまたあのどす黒いオーラを感じなければならないのかと思うと少し背筋が凍った。

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