小さな君の成長日記【WT】 (ページ2)

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小さな君の存在を知ったのは、丁度配信が終わった時に鳴り響いた電話からだった。
ブーブー、と自身の携帯が控えめに、だが聞こえやすい音を出す。
俺は携帯を取り、電話に出る。親戚のおばさんからの電話のようだ。
俺は携帯に耳を近づける。もしもし、と声を出した。

「もしもし。どうしました？」

正直言って、親戚の人の名前は一切覚えていない。幼い頃からずっと人に興味を持っていなかったからだろうか。まあ、そもそも親戚の人達とはここ数年会っていない。名前を忘れてしまっても仕方がないだろう。
敬語で問いただすと、俺の想像していなかった人物の声が響いた。

「もしもし。母が車に轢かれました。場所は…」

「は？」

凛とした、小さいが綺麗な声が聞こえた。幼い少女が、目の前で起きた冷静に対処しようとしているのに対して、驚きと恐怖を隠せない。思わず聞き返してしまった。

「…これ、救急車じゃない…。…すみません。間違いました。」

「え、は、ちょっ、おい」

謝罪を口にして、少女は電話を切った。俺は驚き、携帯を握りしめたまま立ち尽くした。
親戚に、俺より若い子供は居なかったはず。どうして、その少女が親戚の電話から俺に電話を掛けたのか。

俺は暫く思考し、ようやく一つの回答にたどり着く。
「そうか…事故の対処をするためか。」

先程も、少女は俺の電話を警察などの電話…要するは１１０番だと思って掛けてきた。少女は目の前で起きた事故で、いきなり知らない人が車に轢かれた、というよりも母が轢かれたと説明した方が速く救急車が来ると判断したのだろう。
それで、俺は一度納得した。絶対に、この回答は間違っていると思ってはいた。
＿＿そもそも、あんなに幼い少女が冷静に電話対応を出来ている時点で恐ろしいし、規格外の子供だが。

俺は一日中、少女について考え続けた。

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