全部、君のせい

独り ページ33

真実さんに紹介してもらったのは
ダンスのインストラクターの仕事。


曲は聞かなきゃいけないけど
歌わなくていいから、だいぶ楽。







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そこまで大きくないスタジオで
鏡を見ながらストレッチしてると
ぞろぞろと入ってきた、アーティスト志望の子たち。



良くも悪くもまだ何も知らないこの子たちは
これからのことなんて、知る由も必要もない。


私はただ、ダンスを教えるだけ。





『Bメロから…5、6、7、8』


『じゃあ、もう1回通しで』





擦れてなくて、純粋で
何にも染まらない、その瞳は淀みなくて
教えるダンスもどんどん吸収していく。





『今日はここまでにしましょう。お疲れ様でした』


「「ありがとうございましたー！」」





スタジオを出て行くのを見送って
最後のクラスだったから鍵を閉める。





『あっつ……早く着替えよ』





ひとりごとを呟いて、Tシャツをパタパタしながら
誰もいない廊下を歩き始めた。




今持ってるTシャツだけじゃ洗濯間に合わないなぁ
めんどくさいけど買いに行かなきゃ、とか


お腹空いたけど食べるのめんどくさいな
ウイダーあったからそれでいっか、とか考える。

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