全部、君のせい

名前は ページ16

朝、目が覚めると知らない部屋にいて
起き上がって部屋を見渡しても
どうしてここにいるのかなかなか思い出せない。



誰の家だっけ…


ソファーで寝てた？


え、これ、ブランケット…


床にもブランケット落ちてるし…


私、寝相悪かったっけ…


昨日はあいつに…うわ、それは思い出したくない…





「おはよ」





キョロキョロと部屋を見渡す私に
キッチンからかけられた声。



あぁ、私この人に拾われたんだった…





『おはよ…』


「寝れた？」


『おかげさまで…』


「コーヒー飲む？ミルク？砂糖？」


『…ミルクだけ』





「オッケー」って軽く返事をしたあと
鼻歌なんか歌いながらコーヒーを淹れ始める。


お世話になりっぱなしだから何か手伝おうと思って
ブランケットを畳んでからキッチンに行くと
手伝う間も与えず「はい」って渡されたマグカップ。


あったかくて、いい匂いがして、
不覚にもホッとした。





『ありがと…えっと……』


「なつき」


『…なつき』


「夏に輝くって書いてなつき」


『ありがと、夏輝』





今さら知ったその名前は綺麗で
今度は多分、私が名乗る番。





『A…』


「ん？」


『…名前はA』


「Aね」


『うん…』


「じゃあ、A。改めてよろしくね」


『…よろしく』





コーヒーから視線を夏輝に移すと
「お腹空いてない？」ってニコッて笑う。


「あり合わせだけど」って用意してくれた朝ご飯は
一緒に食べたアイスと同じくらい幸せを感じた。

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